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2050年の日本文化はサブカルから生まれ、オタクに支えられていく

ニューズウィーク日本版 / 2017年8月22日 16時0分

かつて漫画やアニメは、純文学と伝統芸術に固執する日本の知識人から軽蔑されていた。しかし今は海外で、どちらもクールな日本文化として支持されている。宮崎駿の一連の作品や『君の名は。』『この世界の片隅に』などのアニメはその好例だ。いわゆる「ゲーム」も、いずれアニメ並みの高い評価を受けると考えられる。

テクノロジーは表現の限界を押し広げる。映画や漫画の世界も、2050年頃にはもっと全感覚的で双方向的なものに、つまり作り手と消費者が何らかの形でコラボするものになっている可能性が高い。バーチャルリアリティーの技術も、単にわくわくドキドキ感を増幅させるだけでなく、情緒的にも精神的にも深みのある作品を生み出せる水準に達していることだろう。待たれるのは次代の葛飾北斎、次代の黒澤明、次代の宮崎駿だ。



しかし今まで同様、新しいものが公に認知されるまでには時間がかかる。それらの作品が賞を獲得し、学問の対象となる頃にはもっと新たな表現方法が誕生しているのではないか。最初に評価されるのは海外においてかもしれない。浮世絵も黒澤映画もそうだった。次代のクリエーターが人間国宝に指定されるのは、まあ100年先だろう。

しかし案ずることはない。未来の人間国宝はもう、この世に生を受けているかもしれない。あるオランダの研究によれば、2070年頃には人の最長寿命が125歳に達するという。しかも、最初に125歳の壁を突破するのは日本人女性だと予想されている。

そうなれば北斎超えだ。北斎は110歳で最高傑作を描くと豪語したが、2050年の北斎は125歳まで描き続けるかもしれない。1人の「画狂老人」ではなく多くの「芸狂老女」がいて(何人かは男もいるだろう)、その創作活動を支えるたくさんの老壮オタクがいる。2050年にはそんな文化が花開いているはずだ。

<本誌2017年8月15&22日号「特集2050:日本の未来予想図」より>


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ピーター・タスカ(評論家)


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