習近平、苦々しい思い:米韓合同軍事演習
ニューズウィーク日本版 / 2017年8月25日 17時0分
その何よりの証拠に習近平とダンフォードの会談場面をご覧いただきたい。
中国の中央テレビ局CCTVの13チャンネル(新聞)の動画を中国政府通信社の新華社のウェブサイトが提供している(動画の部分は不安定で、開かない場合があるが、下の方の静止画面は観ることができるだろう)。習近平とダンフォードは「まったく対等に」同じ種類の椅子に座り、しかも二人が真ん中に対等の位置に座って、他の両国の関係者が両脇に並んでいる。首脳会談と同じ扱いだ。
首脳会談の時と違うのは椅子の種類。
首脳会談の時に使う豪勢な飾りのある椅子ではなく、シンプルな白の椅子にしたが、習近平自身の椅子も、そのランクに揃えてあり、完全に対等なのである。静止画面でじっくり確認なさりたい方は、こちらの写真を。
これらの違いを別の視点から見れば、日韓はアメリカと同盟国なので気を遣わなくてもいいが、中国はそうではないので気を遣ったに過ぎないという言い分もあるだろう。
しかし、実態は違う。
習近平には、アメリカに対する特別の思いがあったのである。
習近平はなぜダンフォードを厚遇したのか?
それは、21日から始まることになっていた米韓合同軍事演習を中止してほしかったからだ。だから米中が軍事に関してもどれだけ互いに友好的で緊密な連携を取っているかを褒め称え、トランプ大統領の年内訪中を再度約束するなど、友好をアピールするのに余念がなかった。
一方、中国が「双暫停」(北朝鮮は核実験・ミサイル発射を暫時停止し、アメリカは米韓合同軍事演習を暫時停止し、話し合いの席に着く)という提案をし続けていることは、アメリカは十分に承知しているはずで、中国はアメリカが認識していることを確信している。
その前提の中で、8月14日、中国は「中朝軍事同盟」カードを切って、北朝鮮にグアム沖合へのミサイル発射を思いとどまらせている(8月15日のコラム「北の譲歩は中国の中朝軍事同盟に関する威嚇が原因」や8月13日のコラム「米朝舌戦の結末に対して、中国がカードを握ってしまった」をご覧いただきたい)。
8月14日、金正恩が「悲惨な運命の時間を過ごす愚かなアメリカの行動をもう少し見守る」と発言したその「見守る対象」とは何か?
それこそが21日から31日まで行われる米韓合同軍事演習「乙支(ウルチ)フリーダム・ガーディアン(Ulchi-Freedom Guardian, UFG)」である。
たしかに「米朝舌戦の結末に対して、中国がカードを握ってしまった」に書いたように、環球時報が米朝両国に警告したのは以下のことである。
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