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軍参謀ら摘発から読み解く習近平の狙い----新チャイナ・セブン予測(2)

ニューズウィーク日本版 / 2017年9月4日 8時0分

世界中のどのメディアを見ても「胡錦濤派」と書いてある報道は一つもない(筆者の知る限りは)。たとえば、ニューヨークにある多維新聞の「香港メディア:中央軍事委員会房峰輝張陽落馬」をご覧いただきたい。ここに示してあるキーワードは「中共反腐(反腐敗)、軍委(軍事委員会)、郭伯雄」の三つで、どこにも「胡錦濤派」という単語は出て来ない。



ひとたび今回の拘束劇を「胡錦濤派と習近平派の権力闘争」などと、安易な視点を持った瞬間に、中国の真相は完璧に覆い隠されてしまう。それは日本国民および政府に一種の中国への安心感を与え、日本の国益を損ねる。

それに、いつまでも「権力闘争」などという、ありもしない事実で習近平政権を分析していたら、そのうち、「あれ?おかしいな......」という疑問に追い込まれ、それ以上、分析が進まなくなるはずだ。

その証拠に、産経新聞(Sankei Biz)が同じ日に「【中国権力闘争】習近平氏の"銃口"はどこを向いているのか 恐怖政治浸透 反乱分子を鎮圧の見方も」という記事を発信している。

「あれ?習近平の銃口はどこを向いているんだい?」という自己矛盾に陥り、遂に「きっとクーデターでも起きるので、その鎮圧のために恐怖政治を始めたにちがいない」という、とんでもない方向に分析が向かうしかない結果を生み出しているのである。こうなると市場までが反応し、実社会に悪影響をもたらす実害を生む可能性が出てくる。

勇気を出して、耳目を集めるための「権力闘争」という偏見を捨て、真相を見極めたいものである。



[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』(飛鳥新社)『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版も)『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。


※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

≪この筆者の記事一覧はこちら≫



遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)


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