トランプ政権の最後のとりでは3人の「将軍たち」
ニューズウィーク日本版 / 2017年9月5日 15時30分
【参考記事】トランプの北朝鮮「先制口撃」が危機を加速する
軍人、そして学者としての名声
アメリカの軍人は、最高司令官たる大統領に従うしかない。マティスやマクマスター、ケリーも同じだ。トランプからご用済みと言われれば、直ちに辞職するしかない。しかし現在の大統領と将軍たちの関係はもっと微妙だ。
トランプにとっては政治も国家安全保障も未経験の分野。一方、将軍3人は職務への真剣さや知性の高さが評価され、世間からも尊敬されている。「交渉人」トランプなら、すぐ気付いたはずだ。この3人は自分にとって「使える人間」だということに。
就任早々の入国禁止令(国土安全保障長官だったケリーに事前の相談はなかった)でつまずき、重要な法案を通せずにいる現政権の機能不全ぶりは目に余る。とはいえ「トランプの周囲にいる将軍の1人でも辞めたら、そんな問題も些細なことに思えるはずだ」と、オバマ政権で閣僚を務め、3人をよく知る人物は言う。
「致命傷になる」と、この情報源は重ねて言った。「3人のうち1人でも、病気などの個人的事情なしに政権を去るとしたら最悪の事態だ」。なぜか。「頭のおかしい連中(スティーブ・バノン首席戦略官とその一派を指す)がのさばることになるから」だと、この人物は言った(バノンは8月18日に解任された)。
ハト派の大統領にタカ派の軍人が反旗を翻す――これはハリウッド映画によくあるテーマ。それが今ではグアム周辺にミサイルを撃ち込むと威嚇する北朝鮮に対して、大統領自らがけんか腰で応じる始末。東アジアのある外交官は、マティスとマクマスター、レックス・ティラーソン国務長官の「冷静沈着さ」を称賛する。「彼らは慌てないし、発言は公私共に正確で淡々としている」
8月初め、マティスとマクマスターは北朝鮮に対する軍事行動をスタッフと検討した。本誌が得た情報では、その中には北朝鮮のミサイルを無力化するサイバー攻撃も含まれていた。また複数の情報筋によると、将軍たちはトランプに、先制攻撃は大惨事を招くリスクを伴うと強く主張している。
退役後、執筆活動に励んでいたマティスがトランプ政権に入ると聞いて周囲は愕然とした Jonathan Ernst-REUTERS
40~50年代のジョージ・C・マーシャル、21世紀の変わり目のコリン・パウエル(共に元国務長官)など、ホワイトハウスでは昔から退役将軍が大きな影響力を振るってきた。しかしマティス、マクマスター、ケリーの3人組ほどの影響力を行使して大統領に助言する例は過去にない。いずれも軍人として、学者として輝かしい名声を持つ。
この記事に関連するニュース
-
トランプ氏が痛烈批判 バイデン氏の「弱腰」外交に根強い懸念 中朝露などの増長招いた
産経ニュース / 2024年7月14日 12時0分
-
イランの核武装への兆候か? イスラエルとの初交戦と大統領墜落死が示すもの
ニューズウィーク日本版 / 2024年6月27日 12時40分
-
「トランプ陣営の世界戦略がさらに明るみに」その3 中国こそが最大の脅威
Japan In-depth / 2024年6月27日 11時0分
-
機密暴露、米政権を翻弄 司法取引への介入否定
共同通信 / 2024年6月26日 18時43分
-
トランプ前政権高官が米誌に寄稿、「米国経済を中国から切り離すべき」(米国、中国、日本)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月25日 0時20分
ランキング
-
1焦点:トランプ氏演説、党のイメージ刷新努力台無し 結局いつもの悪口に
ロイター / 2024年7月19日 18時29分
-
2トランプ氏「強い米国取り戻す」 共和党大会演説 アフガン撤収は「最も恥ずべき出来事」
産経ニュース / 2024年7月19日 13時55分
-
3女児がオオカミにかまれる、自然公園の一部閉鎖 オランダ
AFPBB News / 2024年7月19日 11時35分
-
4韓国軍、再び拡声器放送=北朝鮮の汚物風船に対抗
時事通信 / 2024年7月19日 18時47分
-
5中国経済にトランプショック再び!? 「中国車の輸入阻止」綱領採択、バンス氏との強硬シナリオ 「60%の関税、本気で仕掛ける可能性」
zakzak by夕刊フジ / 2024年7月19日 6時30分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)