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トランプ政権の最後のとりでは3人の「将軍たち」

ニューズウィーク日本版 / 2017年9月5日 15時30分

トランプは国防総省でのマティスの権限拡大を容認した。マティスはまず中東政策の再建を推進した。シリアのアサド政権が再び自国の国民に化学兵器を使用したときはシリアへの空爆を支持し、マクマスターと共にヨルダンやエジプト、サウジアラビアや湾岸諸国など、アメリカの伝統的な同盟国との関係を強化した。

前大統領と違って、トランプは細かいことに口を出さない。アフガニスタンにおける米軍の出口戦略の修正も、マティスらにほぼ丸投げしている。

そのせいもあって、マティスは大統領周辺とほとんど衝突せずにこられた。しかしトランプの衝動的な言動に不意を突かれることはある。

6月、サウジアラビアなどがカタールと断交したときのこと。トランプはツイッターで、カタールは過激派組織に資金を提供していると非難した。慌てたマティスは大統領に、カタールにある米空軍基地は中東における重要な拠点で、断交は軍事行動の大きな妨げになると進言した。以後、トランプはカタールの孤立化をあおるのをやめた。

トランスジェンダー(心と体の性が一致しない人)の米軍入隊を禁じるとトランプがツイートしたときもマティスは愕然とした。トランプは「将軍たち」と相談した結果だと書いたが、マティスは初耳だと明言。報道官を通じて、国防総省はツイッターに反応せず、大統領の正式な指示を待つと述べた。

内輪もめに巻き込まれるという点で、マクマスターはマティスほど運がない。国家安全保障を担う重要機関であるNSCではバノンとの対立に手を焼いた。対立はバノンの更迭という形で幕を閉じたが、2人はあらゆる点で意見を異にしていた。バノンは保護貿易派だが、マクマスターに言わせれば保護貿易は主要同盟国との関係を危うくする。また孤立主義者のバノンはアフガニスタンなどでの軍事介入に深い懸念を示すが、マクマスターとマティスとケリーは3人とも、アフガニスタンから手を引けば9・11同時多発テロを引き起こしたアルカイダとタリバンが再び連携する危険があるとの見解だ。



ケリーは海兵隊員だった息子をアフガニスタンで亡くした Nikki Khan-The Washington Post/GETTY IMAGEES

トランプは海外の紛争から撤退し、貿易相手国に強硬姿勢を取り、イランとの核合意を破棄すると約束して大統領選に勝利した。バノンが経営していたブライトバートなど、ネット世代の白人ナショナリスト「オルト・ライト」がひいきにするウェブサイトは、こうした公約をマクマスターが骨抜きにしていると非難を強めている。

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