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低迷スーパー「ホールフーズ」を買ったアマゾンの皮算用

ニューズウィーク日本版 / 2017年9月12日 17時30分

それでも業界全体としてみれば、ホールフーズの業績は上々だ。利益率は2.8%で、業界平均の1.7%を大幅に上回る。

いまホールフーズがやるべきことは、業績不振店を閉めること。その多くは、株主の圧力を受けて急いで作った店だ。「ホールフーズには、生産性の極めて高い店が数百ある」と、不動産コンサルティング会社マクミランドゥーリトルのニール・スターンは言う。「業績不振店は100店程度だろう。数合わせのために開いた店だ」

不採算店を閉じれば、ブランドの再強化に力を入れられたかもしれない。ただ、それをうまくやるには、長期的なビジョンと、目先の利益をある程度犠牲にする覚悟が必要だ。ホールフーズの株主は、それを容認しなかった。マッキーは、独自のスタイルを貫くスーパーをウォール街に売り込もうとして、自らの手を縛ってしまった。



だが、アマゾンに身売りしたことで、マッキーはホールフーズを救えるかもしれない。「(マッキーは)自由と、大富豪の後ろ盾を得た」と、スターンは語る。投資家はベゾスの手腕を大いに信頼しているから、ホールフーズが値下げに踏み切り不採算店を閉鎖して利益が一時的に落ち込んでも、株主は大騒ぎしないだろうとスターンはみる。

アマゾンは「ホールフーズに、今までやってきたことを続けてほしいと思っている」と、関係筋は言う。「(ベゾスが13年に買収した)ワシントン・ポスト紙のように、株主やオーナーの圧力から解放されて、自由で斬新なビジネスを望んでいる」

とはいえ、近隣の小規模農家から仕入れた生鮮品を、通常のスーパーよりも2~3割高い価格で売ってきたホールフーズのビジネスモデルは、徹底的な効率重視でライバルを蹴落としてきたアマゾンとは正反対に近い。

アマゾンの登場によって廃業に追い込まれた個人書店や小規模出版社は少なくないし、アマゾンのベンダー(販売業者)は、ばか高い販売手数料を取られて激怒している。「私が知るアマゾンのカルチャーは、人間味がなく功利主義的だ。ベンダーは骨までしゃぶられ、吐き捨てられる」と、ロゴフは言う。「ベゾスがホールフーズのカルチャーを守ってくれるといいんだが」

【参考記事】アマゾン+スーパー、宅配改革への大勝負

身売りでイメージを一新

ホールフーズの関係者からは、ルーツに立ち返ってやり直そうという声も聞かれるが、それは決して容易ではない。ホールフーズのルーツであるオーガニック自然食品の市場は、以前よりもずっと競争が激しくなっている。それなら「大人の会社」らしくコストを削減して、集中管理を強化しては? 「結構だが、それでは消費者をワクワクさせるという、昔ながらの魅力が失われてしまう」と、スターンは語る。

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