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「選ばれし者」アルカイダの次期指導者はハムザ・ビンラディンで決まり?

ニューズウィーク日本版 / 2017年9月13日 20時45分

アルカイダがハムザを貴重な後継者として守っていることを示すヒントは他にもある。アルカイダは成人後のハムザの容姿をまだ一度も公表していない。公表すれば敵軍の関心を呼び、命を狙われてしまうからだ。事実、ハムザの兄サード・ビンラディンは2009年に米軍がパキスタンで行った空爆で死亡し、義理の兄でアルカイダのナンバー2だったハイル・アル・マスリも今年アメリカ主導の有志連合がシリアで行った空爆で死亡した。

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20人以上もいるビンラディンの子供のなかで、なぜハムザが後継者に担がれているのかは不明だが、ハムザはビンラディンのお気に入りだったという見方がある。ハムザの指導者としての資質もほとんど知られていないが、3年以上ISISに注目を奪われてきたアルカイダにしてみれば、ビンラディンの息子というだけで十分なようだ。

ハムザについてわかっているのは、子どもの頃にアルカイダのプロパガンダビデオに登場していたこと。幼少期は、スーダンとアフガニスタンで父と過ごしたことも分かっている。両国は、1990年代にサウジ国籍を剥奪された父ビンラディンの亡命先だった。ビンラディンは2011年にパキスタン北部アボタバードの潜伏先で米海軍特殊部隊に殺害されたが、幼少期を父親やその側近とともに過ごしたハムザは、父親の過激思想を継承しているようだ。

ザワヒリにはビンラディンやISISの最高指導者アブバクル・バグダディのようなオーラがなく、年老いたリーダーだというのが、欧米や若いジハーディストの間の評価だ。ザワヒリよりハムザの方が、ビンラディンの血を引くという理由だけで、欧米からより大きな注目を集めている。民間ウェブサイト、ロング・ウォー・ジャーナルによれば、ハムザは5月の声明で「ユダヤ人」と「十字軍」への攻撃を呼び掛け、アルカイダとその信奉者が優先すべき攻撃対象のリストも示した。

「ユダヤ人と十字軍を狙え」

ハムザは、ジハーディストの標的は「神聖なイスラム教や予言者ムハンマドに背く者すべて」であり、「そこら中のユダヤ人を狙え」と言った。もしユダヤ人が見つからなければ「アメリカの十字軍戦士」を攻撃しろとも言った。ハムザは声明で、ロシア(旧ソ連)が1980年代にアフガニスタンに侵攻したことを理由に挙げて、ロシアも攻撃するよう呼び掛けた。当時ムジャヒディンと呼ばれるイスラム聖戦士としてゲリラ戦に参加した父ビンラディンにとって、ロシアは侵略者であり敵国だったからだ。「ロシアに過去の清算をさせてやれ」とハムザは言った。

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