習近平三期連投のための「党主席論」と王岐山の去就――新チャイナ・セブン予測(3)
ニューズウィーク日本版 / 2017年9月25日 16時30分
もっとも、中央軍事委員会は、中共中央で選出される「中共中央軍事委員会」と、立法機関である全人代で追認される「国家(中華人民共和国)中央軍事委員会」の二枚看板がある(構成メンバーは完全に同一)。そのため憲法で制限されているのではないかと思われるだろうが、これも選出母体が中国共産党機関なので、憲法には軍に関する任期制限が書いてない。
「軍は党の軍である」という大原則があるためと、言うこともできる。
したがって、もし中共中央の最高トップ(総書記)および中央軍事委員会の最高トップ(主席)を続投しようと思えば、憲法改正をしなくても、ましていわんや「党主席制度」などを復活させなくとも、現在の規定のままで可能なのである。
なお江沢民は1989年11月から2004年9月まで中共中央軍事委員会主席(1990年3月から2005年3月まで国家中央軍事委員会主席)の座に就いていた。15年間だ。
王岐山の去就
チャイナ・セブンには不文律の年齢制限があり、一応「70歳定年」ということになっている。鄧小平が、文革を支えた毛沢東派である「老人組」の干渉を阻止するために導入した。党大会が開催される時にピッタリ「70歳」という人は滅多にいないので、67歳なら政治局常務委員の候補に挙がっていいが、68歳なら候補から外すことにした。これを「七上八下」と称するようになった。本来の中国語の「七上八下」は「上を下への大騒ぎ」いう意味で、「七上八下」という言い方は庶民が付けたもので、党の側にはこの呼称はない。
ところで、習近平が三期(以上)続投するために、今年69歳になり年齢制限をオーバーする王岐山をチャイナ・セブンに残すことによって前例を作ろうとしているという「噂」が盛んに報道されるようになった。その前例を理由にして習近平が三期(以上)続投しようとしているとの推測だ。
しかし、何も王岐山の前例など創らなくとも、党規約に書いていない不文律なので、中共中央で「この慣習は見直すべきだ」と決議すればそれで済むこと。王岐山ごときを前例にして「紅い皇帝」でいようなどと考える必要はない。
事実、王岐山は早くからチャイナ・セブンには残らないと周りに言っている。「自分は中央規律検査委員会書記として、あまりに多くの党幹部を逮捕投獄してきたので恨みを買いすぎ、これ以上恨まれ続けるのが嫌だから」、というのが理由だ。いつ暗殺されるか分からない。最近になって、日本のメディアでも王岐山自身がこのまま退任したいと言っていることがチラホラ報道されるようになっている。
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