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北朝鮮はなぜ日本を狙い始めたのか

ニューズウィーク日本版 / 2017年10月4日 16時30分

北朝鮮が日本をターゲットにし始めた。その理由は簡単。中国が北の先制攻撃に軍事的警告を発したのは「アメリカ領」であって、「日本」ではないからだ。中国の報復攻撃に怯えている北は、反日中国を意識している。

環球時報の北に対する警告を熟読してほしい

筆者は何度も中国共産党機関紙「人民日報」の姉妹紙である「環球時報」が北朝鮮に対して警告を発したことを書き続けてきた。たとえば、

●8月13日付けコラム「米朝舌戦の結末に対して、中国がカードを握ってしまった」

●8月15日付けコラム「北の譲歩は中国の中朝軍事同盟に関する威嚇が原因」

●9月4日付けコラム<中国が切った「中朝軍事同盟カード」を読み切れなかった日米の失敗>

などである。

もう一度、その部分を復習しよう。

8月10日、中国共産党機関紙「人民日報」の姉妹版「環球時報」は社説として以下の警告を米朝両国に対して表明した。

(1)北朝鮮に対する警告:もし北朝鮮がアメリカ領を先制攻撃し、アメリカが報復として北朝鮮を武力攻撃した場合、中国は中立を保つ。(筆者注:中朝軍事同盟は無視する。)

(2)アメリカに対する警告:もしアメリカが米韓同盟の下、北朝鮮を先制攻撃すれば、中国は絶対にそれを阻止する。中国は決してその結果描かれる「政治的版図」を座視しない。

(3)中国は朝鮮半島の核化には絶対に反対するが、しかし朝鮮半島で戦争が起きることにも同時に反対する。(米韓、朝)どちら側の武力的挑戦にも反対する。この立場において、中国はロシアとの協力を強化する。

この内の(1)と(3)は、北朝鮮にとっては存亡の危機に関わる脅威である。もし北朝鮮がグアムなどのアメリカ領を先制攻撃してアメリカから報復攻撃を受けた場合、中国は北朝鮮側に立たないということであり、その際、ロシアもまた中国と同じ立場を取るということを意味する。

北朝鮮にとって中国は世界で唯一の軍事同盟を結んでいる国なので、中国が「中朝軍事同盟を無視する」と宣言したとなれば、北朝鮮は孤立無援となる。北朝鮮の軍事力など「核とミサイルと暴走」以外は脆弱なものだ。韓国や日本には大きな犠牲を招くだろうが、アメリカと一国で戦えば全滅する。したがって14日、グアム沖合攻撃は延期(実際上放棄)することを表明した。

この文章をしっかり頭に入れていただきたい。



「日本領」とは書いていないことに注目すべき

肝心なのは、環球時報の警告文の中には、「日本領」とも書いてなければ、「在日米軍基地」とも書いていないことである。すなわち

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