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国民審査を受ける裁判官はどんな人物か(判断材料まとめ・前編)

ニューズウィーク日本版 / 2017年10月20日 17時23分

つまり、裁判官全員に対する審査の棄権はできるが、一部の棄権ができないということだ。

本来は、信任の意思表示を「○」、罷免の意思表示を「×」、棄権の意思表示を「無印」 とすべきなのである。これは憲法改正までしなくても、法律(国民審査法)の改正で対応できる。

◇ ◇ ◇

それでは、今回の審査対象となった7人の裁判官について、そのプロフィールや過去の発言、主に関わった判決を簡潔に紹介していくこととする。あなたが一票を投じるときの参考にしていただけると、大変ありがたい限りである。

1:「高校時代は野球部でピッチャー」小池 裕

東大法卒・裁判官出身・新潟県長岡市生まれ、神奈川県藤沢市出身
就任:2015年4月2日/定年:2021年7月2日

《プロフィール》
趣味は映画鑑賞や読書。一方で高校時代は、野球部でピッチャーを務めていた。記者から裁判員制度について尋ねられたとき、「試行錯誤の中で、裁判員に、いいストライクを投げられるようにしたい」と、野球になぞらえて答えたこともある。

裁判官を目指したのは「正しいことを正しいといえる自由さ」に魅力を感じたからだという。

2005~06年の裁判員制度PR活動で、「さかのぼり契約」などの不正経理があったとして、最高裁経理局長として2007年末に注意処分を受けた。一連のPR活動では他にも、落札企業を除く複数社において横並びの見積もり額の提示があるなど、入札談合や予定価格漏洩の疑われる痕跡がみられた。



《主な発言》
・2010年7月7日、水戸地裁所長着任会見にて。
「裁判の仕事は、頂上の見えない山を登っていくようなもので、地道にコツコツと取り組むしかありません」

・2007年9月22日、熊本県人吉市で行われた、地元の調停委員を対象にした講演会にて。
「おそらく、戦後の日本では、失敗から学ぶという姿勢が欠けているように思います。失敗すると、根こそぎ試みを否定するような面があります。失敗から学んで辛抱強くやっていくことが大切だと思います」

「本日お集まりの皆さんは、裁判官は赤ちょうちんに行かないなんて言われているけれども、本当は赤ちょうちんが大好きだというのはよくご存じだと思います。......わが国の裁判官は、公正中立で清廉なんですけれども、国民と距離を取るというところがあったと思います。日ごろ、町内に入って、わいわい一緒にお祭りの神輿を担ぐとかいう感じはなくて、ある程度距離を保つというところがあったと思います。裁判官の生活が一体どういうものなのか、生きた裁判官を見た人はあまりいないし、どういう生態かということはほとんど知らないと思います。......裁判官も、法律を知っているだけではなくて、練れた人間になる必要があるでしょうし、タフにならなければいけないでしょう」(『調停時報』2007年12月25日号の記録より)

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