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定年後どう生きるか、最大のポイントは「黄金の15年」にあり

ニューズウィーク日本版 / 2017年10月23日 16時4分

ちなみに、社会とつながる3つのパターンとして紹介されているのは、まず「組織で働く」という選択。雇用継続で65歳まで元の会社で働くとか、ハローワークや人材紹介会社に紹介してもらう場合も考えられるだろう。

次は、以前の会社での業務と関連のある仕事に就くというケース。保険会社で営業を担当していた人が、キャリアを活かして保険代理店を始めるような場合だ。そしてもう1つは、蕎麦屋を開店したり、農家として独立するなど、今までの仕事とは全く違う生き方に取り組むケース。

どれを目指したとしても優劣はないが、多くの事例を見てきた立場として、著者は「趣味の範囲にとどめることなく、報酬がもらえること」「向き不向きを見極め、自らの個性で勝負できるものに取り組むこと」の重要性を強調している。



定年後の60歳から74歳までは自分自身を縛るものが少なく、かつ裁量を持って動ける黄金の15年である。人生後半戦の最大のポイントだという意気込みで、自分ならではのものを見出したいものである。(134ページより)

これを読んで、「ああ、ポジティブな考え方だなぁ」と感心するだけでは意味がない。つまり60歳からの15年は、なんとしてでも有効に使わなければいけないのだ。それは、第7章のタイトルにもなっている「『死』から逆算してみる」という考え方にもつながっていく。

 逆算型の生き方は、老いや死を取り入れながら生をイキイキさせることにつながっている。定年退職者が語る「元気で働ける年齢を74歳までとするなら」「残りの人生が30年あるならば」は、いずれも死を意識しながらそこから逆算して自分の未来を考えている。たとえば「今日が自分の最期の日であれば」と想像して、もしやらなければ後悔することがあればすぐに手をつけておこうということになるだろう。(187~188ページより)

数十年間生きて、そして今死んでいかなければならないという厳粛さは、日々の自分勝手な思い込みなどから解き放たれて、本当に自分にとって大事なものに気づく機会になる。 この絶対的な死との関連において、定年後の自分の立ち位置を確定させるならば、そのアイデンティティはかなり揺るぎないものになる。(中略)人生が80年になり、多くの人が、いかに生きるか、いかに死ぬかについて考えざるを得なくなった。これは大変なことである反面、自分の進む道を自分で選択できるようになったと思えば、このチャンスを活かしたいものだ。(188~189ページより)

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