習近平新指導部の上海視察は何を意味するのか?
ニューズウィーク日本版 / 2017年11月2日 15時45分
しかしその毛沢東は結局、毛沢東思想によって新中国を誕生させた。
習近平はその「新中国」を乗り越えて、「中国共産党建党」から「新中国」ではなく、「新時代」に入らなければならないのである。このネットの時代に、しかも中産階級が増えた時代にボトムアップ運動などが起きたら、一党支配体制は一瞬で崩壊する。人民は既にコントロールしやすい「無知の群れ」ではない。
ここにこそ上海市の第一回党大会開催跡地を習近平率いる新チャイナ・セブンが視察した意味がある。
「党の初心」に戻るのであって、決して毛沢東思想に戻るのではない。
もし、毛沢東思想を中心にすれば、「新時代」の中国は「網民(ネット市民=ネットユーザー)」の声を聴かなければならないことになる。
それは絶対にできない。だから、「中国共産党建党時の初心の威厳」により人民を圧倒し続けなければならないのである。
これが上海市に新チャイナ・セブン全員が揃って行った意味である。
江沢民閥を排除するためなどと、狭量な解釈をするのは妥当ではない。
この大局に気づかなければ、これからの5年間の中国の真相を見つめようとする正確な視座を持つことは出来ないだろう。
[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』(飛鳥新社)『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版も)『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
≪この筆者の記事一覧はこちら≫
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)
この記事に関連するニュース
-
中国共産党が7月に「3中総会」開催 経済方針を討議する重要会議
産経ニュース / 2024年4月30日 16時50分
-
山下裕貴 目覚めよ日本 中国〝台湾侵攻〟の引き金5つ 内政の不満を反らすため開戦も「毛沢東を超え…歴史に名を残す」習近平氏の個人的野望
zakzak by夕刊フジ / 2024年4月24日 6時30分
-
中国人民解放軍情報支援部隊が発足、習近平主席が隊旗授与と訓辞
Record China / 2024年4月20日 20時30分
-
ギネス世界一の長寿認定に“待った”、中国にはもっと高齢の男性―香港メディア
Record China / 2024年4月17日 0時0分
-
習主席とブラジル大統領、共産党・労働者党の理論シンポジウムを祝賀―中国
Record China / 2024年4月10日 12時50分
ランキング
-
1フランス、ロシアの偽情報に危機感 マクロン大統領の部隊派遣発言後…核兵器「議論用意」
産経ニュース / 2024年5月5日 17時16分
-
2「第2、第3の制裁パネルを仕立てても死滅の運命」 北朝鮮国連大使が日米韓を牽制
産経ニュース / 2024年5月5日 15時1分
-
3要衝陥落「時間の問題」 兵器不足、交渉も視野
共同通信 / 2024年5月5日 7時43分
-
4「完全に失敗」の対ロシア制裁に、新たな手段 中国経由の抜け道封じに一定の成果、さらなる課題も
47NEWS / 2024年5月5日 10時0分
-
5台湾地震1か月、花蓮の観光客激減・夜市は閑散と…「惨たんたる状況だ」
読売新聞 / 2024年5月4日 18時34分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください