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カタルーニャ「殉教戦略」の嘘

ニューズウィーク日本版 / 2017年11月14日 14時45分

カタルーニャで「殉教戦略」を成功させたければ、プッチダモンには本当に「殉教」者になるくらいの勇気が必要だ。これまでのところ、彼にはそれが欠けている。



住民投票以降のプッチダモンの言動は、勇敢な人物のそれとは程遠い。住民投票直後、独立宣言を行うチャンスを迎え、世論の熱が最も高まったときにも、彼は決断できなかった。

プッチダモンは一度は独立を宣言したものの、その後すぐに保留にして中央政府と交渉を行うと表明した。独立派のより過激な一派から「裏切り者」呼ばわりされてようやく、独立に向けて行動を起こした(州議会では彼らの支持があったからこそプッチダモンは首相の座を維持できていたのだが)。

独立宣言そのものも、勇気という言葉からは程遠いものだった。10月27日のカタルーニャ州議会での独立宣言の決議案採択は、反対派が議場から退出した後に、秘密投票の形で行われた。

独立宣言の決議案が採決されると、プッチダモンは沈黙してしまった。独立宣言の2日後、カタルーニャの住民たちが州首相から受け取ったのは、中央政府によるカタルーニャの乗っ取りに「民主的に抵抗する」ようにと促す事前に録音されたメッセージだけだった。

プッチダモンはその後、当局に逮捕されることを恐れ、スペインを出国。EU加盟国の中でも最も政治亡命に寛大な政策を取るベルギーで会見し、国外で独立運動を進めていくことを表明した。(編集部注:「反乱罪」などの容疑でスペイン司法当局から11月3日に逮捕状が出たことを受けて、プッチダモンらはベルギー警察に出頭。その後、聴取に応じることなどを条件に一旦保釈された)

それが本当ならば、プッチダモンは「殉教戦略」の信頼性を自ら損なうことになる。安全な場所に逃避して苦しみを伴わない「殉教」など、あるはずはないのだから。

From Foreign Policy Magazine


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[2017.11.14号掲載]
オマール・エンカルナシオン(米バード大学政治学教授)


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