イエメン、サレハ前大統領の殺害はなぜニュースなのか
ニューズウィーク日本版 / 2017年12月7日 21時33分
そこでトランプ米政権の出方が問題になる。ドナルド・トランプ大統領の「アメリカ第一主義」に則れば、アメリカの政策は今後も変わらなそうだ。米政権が望むのはイエメン軍内部のテロ因子を叩くことで、内戦の背景にある根本問題に関心はない。
湾岸諸国の終わりなき代理戦争が続けば、アメリカの武器がたくさん売れてトランプ政権は大喜びだろう、という皮肉な見方もあるほどだ。
だが、トランプ政権はこの1年、外交らしい外交はしていない。そもそも国務省は今、レックス・ティラーソン国務長官が辞めさせられるという噂が流れるほど混乱している。
サレハの死にかすかな希望を見出せるとすれば、彼が私腹を肥やすために作り出した分断や格差が次第に解消し、安定へのよりよいチャンスが生まれることだ。
だが現実には、サレハが遺した傷はあまりに生々しく、治癒には何年、いや何十年もかかるだろう。そしてイエメンは失敗国家の深みへさらに落ちていく。「世界最悪の人道危機」をこじらせながら。
This article first appeared on the Atlantic Council site.
Tarek Radwan is an independent Middle East researcher and analyst. Follow him on Twitter @tradwan.
タレク・ラドワン(中東アナリスト)
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