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エルサレム首都宣言で露呈した、インティファーダができない現実

ニューズウィーク日本版 / 2017年12月20日 17時53分

トランプ大統領の宣言に何か利点があるとすれば、今年2月、パレスチナ・イスラエル問題の解決で「2国家共存にこだわらない」というトランプ大統領の発言が、ヨルダン川西岸ではすでに至るところにユダヤ人入植地が「虫食い状態」に点在し、土地と水資源が奪われ、パレスチナ国家の基盤が侵蝕されてしまっている現実を国際社会に直視させる機会を与えたように、今回の宣言は、東エルサレムの「ユダヤ化」が進行し、すでに将来の「パレスチナ国家」首都は非現実化されつつある現状を世界に示したことだろう。

パレスチナ人住民とイスラエル治安当局との衝突やイスラム諸国での抗議デモが下火になれば、この「エルサレム首都宣言」ニュースはメディアから忘れ去られていくだろう。しかし、「東エルサレムのユダヤ化」は着実に進行し、名実ともに「エルサレムがイスラエルの首都」となる日は遠くない。

[筆者]
土井敏邦
1953年佐賀県生まれ。中東専門誌の編集記者を経てフリージャーナリスト。85年よりパレスチナ・イスラエルの現地取材を続けている。93年からは映像取材も開始し、NHKや民放で多くのドキュメンタリー番組を発表。2009年、『届かぬ声――パレスチナ・占領と生きる人びと』4部作を完成。他にも、東京都の教育現場を描いた映画『"私"を生きる』や、『飯舘村 第一章・故郷を追わる村人たち』『異国に生きる―日本の中のビルマ人―』『ガザに生きる』(5部作)など映像作品多数。書著に『占領と民衆――パレスチナ』(晩聲社、1988年)、『パレスチナの声、イスラエルの声』(岩波書店、2004年)、『ジャーナリストはなぜ「戦場」へ行くのか』(共著、集英社新書、2015年)など。

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土井敏邦(ジャーナリスト)


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