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北の対話路線転換と中国の狙い――米中代理心理戦争

ニューズウィーク日本版 / 2018年1月4日 16時30分



――日本は「専守防衛原則」を維持し、平和的発展の道を守らなければならないのに、北朝鮮問題を煽り立て、それを口実として「防衛」の領域を越えた軍備を拡張しようとしている。トランプは北朝鮮を必要以上に刺激して北東アジア情勢を不安定化させ、日韓に武器を売りつけて金儲けをしようとしている。日本は北朝鮮問題に対応することを口実に平和憲法に違反する武器を購入して軍事強国の道へと進もうとしている。たとえば日本海上自衛隊の護衛艦「いずも」は、いつでも航空母艦に改造が可能であり、垂直離着陸が可能なF-35Bを搭載できる。またイージス・アショアをアメリカから購入することが決まっている。

......などだ。そして番組は世界主要国メディアの「日本の軍国主義国家への道」に対する批判を列挙した。特にロシアの衛星放送が「このままでは日露関係はうまくいかない」としていることを強調した。

要は、世界の主要メディアを使って、中国がいかに嫌がっているかということを表明したわけだ。

金正恩の「新年の辞」と「日本の軍事大国化問題」を抱き合わせるのは、明らかに中国の意図に沿って北朝鮮を動かし、それを以て米韓合同軍事演習と、中国が言うところの「日本の軍国化」を阻止しようとしている中国の狙いが透けて見えるのである。

環球網や新華網も

1月1日、午前9時18分、中国共産党機関紙「人民日報」傘下の環球時報の電子版「環球網」は「金正恩:平昌冬季五輪に参加の意思あり、核武装建設大業はすでに完成」という見出しで、金正恩の「新年の辞」を速報で伝えた。また中国政府の通信社である新華社の電子版「新華網」も同様の情報を大きく扱っている。

CCTV「韓国に残された課題」に見る中国の思惑

問題は韓国が平昌冬季五輪期間をまたいで行なわれることになっている米韓合同軍事演習を中止もしくは延期できるか否かである。アメリカのマティス国防長官は昨年末、考慮する余地を若干示唆しながらも、延期しないと言っていた。

しかし韓国の文在寅は延期を主張し、また韓国の承諾なしにアメリカが北朝鮮を先制攻撃することは許さないと言い続けている。つまり、韓国の承諾なしに朝鮮半島で戦争を始めてはならないということだ。

アメリカのヘイリー国連大使は2日、「北朝鮮が誰と対話しようと自由だが、(北朝鮮が)核放棄に同意するまで、アメリカは(対話を)認めない」と言っている。

CCTVでは、トランプが2日、ツイートで「(アメリカ主導の)制裁や圧力が北朝鮮に影響をたらし態度を変えさせた」と書いたことに関して、やや嘲笑気味に「その逆だ」という趣旨の解説を行なっている。むしろ「韓国における平昌冬季五輪と文在寅の対北融和政策を利用した中朝の米韓離間戦略が功を奏して日米韓を困惑に追いやっている。制裁と圧力という日米の戦略より、対話による平和解決という中露の戦略の方が勝ちつつある」というのが中国の見解で、残るは文在寅の決断と覚悟次第と、韓国への課題を提起している。

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