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「北を支援」中共機密文書は偽造

ニューズウィーク日本版 / 2018年1月6日 20時0分

2.番号を打つ必要が生じたときには、赤線のすぐ下の左側に書く。もちろん、その場合も「No.」という文字はない。また「機密」の場合は「机密」という文字が、同じように赤線の下の左側に書いてある。「最高機密」は「絶密」と書くことが多いが、文書の左上に書くことはない。

3.文書1には「中共中央弁公庁文件」とあるが、一般に「中共中央弁公庁文件」の場合は、「国務院弁公庁」と並列で発布する。 下側にある文書2をご覧いただければお分かりいただけるように、「中共中央弁公庁文件」なのに、赤線の下には同名称とともに「国務院弁公庁」という文字があることが見て取れる。これはよく「中共中央・国務院は」という文言で始まる通達の類いである。「中共中央弁公庁文件」と「国務院弁公庁」が赤線の上に書いてある場合もあるが、いずれにせよ抱き合わせである。

4.しかし文書1には、赤線の下に「国務院弁公庁」の名称がない。中共中央のある部局に対する決定や指示の場合は、「中共中央文件」という名称で発布する。「弁公庁」という文字があるのはおかしい。

5.文書1の赤線の下には、「朝鮮民主主義人民共和国」という名称が書いてあるが、中国では北朝鮮のことを単に「朝鮮」と称する。協定書(締結書)などならば、「朝鮮民主主義人民共和国」と書くが、これは中共中央弁公庁が中共中央対外聯絡部に出した決定の指示書の形を取っているので、ここに「朝鮮民主主義人民共和国」とあるのは不自然である。「朝鮮」と書くのが自然。



6.文書1は全体で4頁に及ぶが、途中に「対峙」と書くべきところ、「対持」という誤記がある。公文書でこのようなミスがあることは一般にない。

7.文書1には、「党領導的中国特色社会主義制度」(中国語のまま)という表現があるが、これは中共の政治構造を熟知していない証拠だ。中共は「党の領導」を「中国の特色ある社会主義国家」の重要な柱としており、人民と国家を党が領導すると規定しているのであって、決して「中国の特色ある社会主義制度」を「党が領導する」とはしていない。また「党が領導する制度」という形では規定していない。複雑になるが、この表現を見ると「ん?」という違和感を抱く。したがって文書1の作成者は、中華人民共和国憲法や党規約にある政治構造を熟知していないことが窺える。

8.また文書1には「あなたの部(対外聯絡部)は中共中央を代表して~しなければならない」という表現があるが、中共中央内部の文書では「党中央」とか「中央」と書くのであって、決して内部間の文書では「中共中央」とは書かないのが慣例である。同じ中国共産党(中共)内部のことだから(たとえば日本の内閣が大臣宛てにある指示を行なう時に、決して「日本国の内閣は」とは書かないのと似ている。外国に対してなら「日本国」を入れるだろうが、内部では入れない、というのと類似の感覚である)。

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