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「北を支援」中共機密文書は偽造

ニューズウィーク日本版 / 2018年1月6日 20時0分

9.文書1の終わりにある日付の個所には印鑑が捺してあり、そこには「2017年9月15日」と書いてあるのに、その下の最後の行にある「印発」(印刷配布)という箇所には「2017年9月19日」と書いてある。この日付が異なるということはあり得ない。うっかりミスだろうが、中共中央では、このような類のミスは生じえない。

まだまだあるが、概ね以上で証拠は十分だろう。

中国外交部の報道官は、記者からのこの暴露文書に関する質問に対して「Fake news, fake document! 常識のある人なら一目でわかる!」と吐き捨てるように言ったが、残念ながら、その通りだと思う。

誰が捏造したのか?

実はアメリカの華人華僑社会では、いったい誰がこのような偽造文書を書いたのかに関してまで明確にさせている。犯人は亡命商人である郭文貴氏だと書き立てている。中国政府から国際手配されているので、アメリカ政府の庇護を受けたいために書いたのだと手厳しい。「自分はこんなに役立つ人間なので(このような機密文書まで入手できる人間なので)、どうか中国政府に引き渡さないでほしい」という切なる願望があるからとのこと。彼ならば、偽造文書を公開したのはこれが初めてではないので、さもありなんと思われる。

特に彼は中国の国家安全系列にいる知人との関係で不正を働いたと追及されており、この文書も中国の国家安全および情報系列の者から入手したとして、ワシントン・フリー・ビーコンの記者に渡したとされている。

郭文貴氏のことを書き始めると長くなるので、ともかく、この「機密文書」は偽造だという結論だけを、ここでは明確にしておきたい。時期が時期だけに、振り回されないようにしたいものである。

[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』(飛鳥新社)『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版も)『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。


※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

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遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)


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