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尖閣に中国潜水艦――習近平の狙いと日本の姿勢

ニューズウィーク日本版 / 2018年1月15日 7時0分

5.つまり、中央軍事委員会が中国の軍事や国家安全に関する全てを掌握したことを宣言する雰囲気に全軍が包まれていたのが今年1月10日のことである。全軍に対する習近平・中央軍事委員会の権威を高めるムードは中国の隅々にまで行きわたっていることが、CCTVでも、これでもか、これでもかと言わんばかりに満ち溢れていた。尖閣接続水域における中国の潜水艦事件は、その翌日の1月11日であったことに注目しなければならない。

以上より、中国海軍の潜水艦の尖閣接続水域への潜航は、偶発的なものではなく、中共中央軍事委員会の指示に基づいたものであることが見て取れる。少なくとも第一列島線における中国の覇権を予告する性格のものであったと解釈すべきだろう。



事実、今年1月5日、中国の空母「遼寧」が台湾海峡の中間線の西側を南西に向けて航行した。

12日には遼寧の艦隊が台湾海峡を抜け北に向かっている。このような一連の動きの中で、尖閣接続水域における潜航だけが偶発的ということはあり得ない。

中国外交部の日本の抗議に対する抗議

中国外交部の陸慷(ルー・カン)報道官は11日の定例記者会見で、「釣魚島(日本名・尖閣諸島)問題でもめ事を引き起こすのを止めるよう」日本側に促した。具体的には以下のように述べている。

――中国側の把握した状況では、本日午前、日本の海上自衛隊の艦艇2隻が赤尾嶼(日本名・大正島)北東の接続水域に相前後して入った。中国側は日本側の活動の全行程を追跡・監視した。現時点で日本側艦艇はすでに接続水域を離れている。釣魚島及びその附属島嶼は中国固有の領土であり、釣魚島に対する中国の主権には十分な歴史的根拠と法理上の根拠があるということを改めて強調しなければならない。日本側のやり方によって、釣魚島が中国に属すという客観的事実はみじんも変わらず、釣魚島の領土主権を守る中国側の断固たる決意もみじんも揺るがない。中国側は日本側に対して、釣魚島問題でもめ事を引き起こすのを止め、2014年に合意した4つの原則的共通認識の精神に従い、中国側と同じ方向に向かい、実際の行動によって両国関係改善のために努力するよう促す(人民日報の電子版「人民網日本語版」より)。

逆に日本側を責めているのだ。

1992年の中国の領海法を野放しにした日本

尖閣が日本固有の領土であることは言うまでもない。にもかかわらず中国が1992年に領海法を制定し、尖閣諸島を中国固有の領土としたのに対して、日本政府はほとんど抗議をしていない(詳細は拙著『チャイナ・ギャップ 噛み合わない日中の歯車』)。

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