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アッバス議長顧問「パレスチナ和平に日本も一役買ってほしい」

ニューズウィーク日本版 / 2018年2月15日 18時0分

――今後の中東和平交渉は「アメリカなし」でも「アメリカオンリーワン」でもない、新たな取り組みがささやかれているようですが、これについてパレスチナ側の考えは?

アッバス議長の言葉を借りれば、われわれはリスクも取らず、冒険もしません。和平交渉のメンバーからアメリカを外すつもりも、以前のように独占させるつもりもありません。そのことをわれわれは明らかにしていますし、日本や他の世界の国々にも理解してほしい。アメリカを敵対視するとか、仲間はずれにするようなことは決して考えていません。しかし同時に、日本やロシア、中国などが疎外されるような状況にはしたくありません。

パレスチナとイスラエルの和平実現は、多元的な権力の下で進めるべきです。日本もその主導的な立場の一国になってほしい。世界のパワー構造が変わりつつある今だからこそ、自国のためにも一歩踏み出して日本独自の政策の下で新しく出来上がりつつある「ニューワールド」の構築に一役買ってほしいです。

――しかし、日本は変化するのが難しい国だとよく言われます。

世界がさまざまなレベルで変化しているのは事実ですし、日本もいずれ変わらなければならない。極東の一国で材料や資材を輸入し、製品を作って世界に輸出するという存在だけではその変化についていけなくなるでしょう。だからこそ、変わらなければならないのです。世界で新たなリーダーが生まれ権力構造の変化が進むなか、アメリカだけを頼りにするような考えはもう時代遅れとなるでしょう。

それから、日本はイスラエルを承認しているといいますが、その国境はどこにあるのでしょうか。イスラエルはいまだに国境を画定していない国ですから。パレスチナを承認することは世界や日本にとって重要な意味を持っています。なぜならパレスチナを国家承認することで、中東和平問題に対する国連決議の不履行など、現在、乱れている国際社会の秩序と原則を正しい方向に戻すことになるからです。

日本にはそのことに一役買ってほしい。そうでなければ、いざというとき、つまり日本政府がパレスチナを国家として承認することになったとき、イスラエルの入植活動や侵食によってパレスチナ領土の残りの部分がなくなっているに違いありません。

もはやパレスチナの国家樹立と承認は待ったなしの状況です。日本もそう認識すべきです。もちろん、パレスチナをいきなり承認するのは難しいことはわれわれも理解できますが、段階的な形でもいいですし、フランス議会がパレスチナを国家承認するよう政府に求める決議を可決したように、日本の国会による承認要請という形でもいい。方法はいろいろあります。

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