アッバス議長顧問「パレスチナ和平に日本も一役買ってほしい」
ニューズウィーク日本版 / 2018年2月15日 18時0分
私たちパレスチナ人はあなたたちのことをもっと知りたいですし、お互いに知的な関係を築いていきたいと望んでいます。
80年代は、経済発展を成し遂げた日本の話題で世界中のマスコミが湧いていました。それを見た私は、ひょっとして、これから私たちの目指すべき新しいモデルとなるのは日本なのかもしれないと思い、日本に関する本を片端から読み漁り「日本」という国を勉強しました。私は、アラブ人が日本のようなユニークなモデルを検証し、学ぶべきだと昔も今も思うのです。
***
パレスチナ人は和平実現を心から望んでいると、想いの詰まった彼の言葉からはひしひしと伝わってくる。司馬遼太郎は著書『この国のかたち』(文芸春秋)で「日本史には英雄がいないが、統治機構を整えた人物はいた」と記している。
今のパレスチナに必要なのは英雄になれる人物よりも、パレスチナ和平と国家樹立に向けたマスタープランを作り、統治機構を整えられる力なのかもしれない。和平実現やその先の自立した経済などさまざまな課題について自ら備えを用意し、多元的権力構造の新たな世界で多くのパートナーとの協力関係を力にして、確実に和平を実現してほしい。
【執筆者】アルモーメン・アブドーラ
エジプト・カイロ生まれ。東海大学・国際教育センター准教授。日本研究家。2001年、学習院大学文学部日本語日本文学科卒業。同大学大学院人文科学研究科で、日本語とアラビア語の対照言語学を研究、日本語日本文学博士号を取得。02~03年に「NHK アラビア語ラジオ講座」にアシスタント講師として、03~08年に「NHKテレビでアラビア語」に講師としてレギュラー出演していた。現在はNHK・BS放送アルジャジーラニュースの放送通訳のほか、天皇・皇后両陛下やアラブ諸国首脳、パレスチナ自治政府アッバス議長などの通訳を務める。元サウジアラビア王国大使館文化部スーパーバイザー。近著に「地図が読めないアラブ人、道を聞けない日本人」 (小学館)、「日本語とアラビア語の慣用的表現の対照研究: 比喩的思考と意味理解を中心に」(国書刊行会」などがある。
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アルモーメン・アブドーラ(東海大学・国際教育センター准教授)
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