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『君の名前で僕を呼んで』多感な17歳が落ちたひと夏の同性愛の恋

ニューズウィーク日本版 / 2018年2月27日 16時50分

――このラブストーリーのどこに一番感動した?

恥ずかしげもなく正確なところ。スティーブン・チョボスキーの『ウォールフラワー』みたいに、若者の欲望と抑制の気まぐれな熱狂がのぞくんだ。



――エリオは自分の感情をよく把握しているが、普通のアメリカのティーンエイジャーは違うようだ。10代の少年はエリオから学べるだろうか。

いい質問だね。難しいと思う。映画ではエリオは好意を持っている相手に対してためらわずに手の内を見せ、相手も彼に好意を持っている。それを現実の人生に当てはめるのは難しい。現実には拒否される可能性もあるから。

それでも若者が映画を見て、ありのままの自分でいいんだって気付くのはとてもいいと思う。アメリカの若者は特にね。ヨーロッパではアメリカより大っぴらに劣等感や悩みについて話せる気がするから。

――既に質問攻めに遭っていると思うが、桃のシーンについては監督からはどんな指示があったのか。

あのシーンには2週間くらいかかった。ルカの話だと、原作者のアンドレはカットしたほうがいいんじゃないかと思ってたみたいだ。このシーンは小説で描写するほうが効果的で、実際に説得力のある演技をするのは難しくてあからさま過ぎるって。撮影したい気持ちは変わらなかったけど、説得力がなかったら没にするつもりだった。1~2回撮影して、2回目で「これだ!」と感じた。

準備をしているときは「ちゃんとやらなきゃ」って感じじゃなかった。あらかじめ決めたとおりに演じたくはなかった。見ていて面白いのは、自然に出てくる演技だから。かといってコメディーっぽい芝居や、自意識過剰な感じにもしたくなかった。

ああいうプライベートなシーンは怖いけど、ありがたくもある。1人でいるとき、人はさまざまな感情表現をする。桃とのセックスとか、ベッドで跳びはねるとか。

――ルカと一緒に仕事するのはどんな気分? ほかの監督との違いは?

数え上げたらきりがないよ。マーロン・ブランドの出現で演技の意味が変わり、誰もがリアルに演じるようになったことを(ルカが)思い出させてくれた。クリスチャン・ベールが『マシニスト』のために大幅に減量した以降は、役作りのために減量するのが当たり前になった。

ルカとの今回の仕事は、役に没頭するように要求されて大変だった。手抜きは一切なし。ちょっとした小道具まで考え抜かれたものばかりだった。土壇場で加わった人間は1人もいなかった。

―― 17年は『レディ・バード』の高校生カイル役でも注目を浴びた。監督のグレタ・ガーウィグから準備のために渡された本があったそうだが?

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