それでも安倍政権にNOと言えない保守派──森友学園文書書き換え問題
ニューズウィーク日本版 / 2018年3月14日 21時20分
○第六は、平昌五輪に際する安倍総理の出席問題。朴政権から文政権に交代し慰安婦合意が骨抜きにされると、日本の保守派は沸騰して安倍総理の訪韓中止を期待した。しかし、観測報道を裏切って安倍総理は訪韓した。ここでも、保守派の安倍総理に対する期待や思いは冷淡な反応で返され続けたのである。
結局自民党しか無い
これ以外にも些末な保守派の安倍政権への一方的思慕と失望は繰り返された。が、前述の通り保守派はどんなことがあっても常に安倍政権を支持し続けてきた。
なぜなら、結局、安倍政権以外に保守派が支持する政治家や政党(自民党)が存在しないからである。
2014年の総選挙で、「自民党より右」を標榜して立った旧次世代の党に対し、保守派が大きな期待をかけたのは、この「安倍政権に対する期待」と「現実の落差」というフラストレーションが呼び起こしたものだった。
が、選挙で旧次世代の党が大敗した後、保守派の支持は再び自民党に回帰した。旧次世代の党で落選した議員は、一部を除いて次々と自民党に復党していった。
結局、この国の保守派にとって安倍総理と、自民党以外の選択肢が存在しないことが、保守派をして安倍総理や安倍政権への一方的な、「片依存」とでもいうべき激烈な思慕の情をますます以て増大させたのである。
じわりと広がる危機感
森友学園に関する文章書き換え問題は、自民党にとって最も重厚な支持層である、穏健な中道層からの離反を招く危険性がある。
佐川氏の辞任が納税時期と重なったこともあるが、朝日新聞のスクープに始まった一連の公文書書き換えの範囲と量が、単に「書き換え」の四文字で処理されるにはあまりにも広汎で、重大であることは客観的に見て明らかだからである。
このまま行政府が責任を取らなければ、「官」それも「官の中の官=財務省」への漠然とした信頼を持っていた中間層・穏健層からの支持が揺らぎかねない。
確かに本件は突き詰めると一部官僚の不手際かもしれない。が、小泉進次郎筆頭副幹事長が「自民党という組織は官僚の皆さんだけに責任を押しつけるような政党じゃない」(3月12日)とコメントしたように、百歩譲って安倍夫妻のあずかり知らぬところでおこった文章書き換えであっても、「政権は逆に被害者である」と開き直る論法は一般の有権者には通じない。
事実、読売新聞の世論調査では、「(森友文章問題に対して)政府が適切に対応していると思わない」が80%、自民党支持層に限っても65%と圧倒的に高い結果だった(12日)。
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