それでも安倍政権にNOと言えない保守派──森友学園文書書き換え問題
ニューズウィーク日本版 / 2018年3月14日 21時20分
まだ見ぬ自民党総裁の為にも
最低でも麻生財務大臣の責任を問う声が、保守派からあがるべきだが、麻生辞任が安倍辞任に繋がる、というコースを恐れてか、保守派や保守系言論人の多くは、いまをもって安倍政権へのNOの声が驚くほど鈍い。
時の宰相への思い入れは別にして、国や政府の失態には毅然としてNOというのが真の愛国者ではないだろうか。
保守派にとって本来重要なのは安倍政権では無くて国益のはずである。しかし、第二次安倍政権への期待の熱量があまりにも大きく、そしてその熱が安倍総理や自民党以外へのやり場が無い状態が5年半も続いたせいで、この国の保守派は安倍政権に対する正面からの批判を全て封じ込め、逆に保守派にとって冷淡な政策判断ですら、自身の抱く「願望」に照らし合わせ、都合の良いように解釈してきたきらいがある。
これは本当の意味での保守派とは遠く、セクト主義とポジショニング話法の蔓延である。このような状態は、長期的に見て保守派にとっても国益にとってもまた、民主主義国家の発展にとっても好ましいことでは無い。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
[執筆者]
古谷経衡(ふるやつねひら)文筆家。1982年北海道生まれ。立命館大文学部卒。日本ペンクラブ正会員、NPO法人江東映像文化振興事業団理事長。新著「日本を蝕む『極論』の正体」 (新潮新書)の他、「草食系のための対米自立論」(小学館)、「ヒトラーはなぜ猫が嫌いだったのか」(コアマガジン)、「左翼も右翼もウソばかり」(新潮社)、「ネット右翼の終わり」(晶文社)、「戦後イデオロギーは日本人を幸せにしたか」(イーストプレス)など著書多数。
古谷経衡(文筆家)
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