習近平国家主席再選とその狙い──全人代第四報
ニューズウィーク日本版 / 2018年3月19日 12時20分
王岐山を国家副主席に
2月26日のコラム「王岐山、次期国家副主席の可能性は?」で予測した通り、王岐山は17日の全人代で国家副主席に選出された。
昨年末から顕著化したトランプ政権の対中強硬策に対抗できる人物として、王岐山の豪胆ぶりを買ったからだと見るべきだろう。王毅外相や楊潔チ国務委員(外交担当)といった従来の官僚的存在では、トランプに太刀打ちできない状況にあるからだ。
かつて金融や経済貿易領域でアメリカと渡り合ったこともある王岐山にその任務を与えるだけでなく、「台湾旅行法」の制定により台米政府高官が互いに行き来できるようにしたトランプ政権と対等に交渉できる大物が欲しいのが、習近平の本音だろう。
もし、これら一連の動きまで権力闘争の結果と分析したりなどしていたら、中国の正体は見えなくなり、日本の国益を損ねることにつながるので、現実を客観的に正視するように期待する。
追記:もちろん習近平は自身の手で「一帯一路」巨大経済圏構想を完遂させて「中華民族の偉大なる復興」を成し遂げたいという野望は持っているだろう。しかし独裁色が濃くなれば西側諸国が中国に対して抱く危機感もまた強まり、逆に一党支配体制の弱体化を招くであろうことは明らかだ。
[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』(飛鳥新社)『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版も)『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
≪この筆者の記事一覧はこちら≫
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)
この記事に関連するニュース
-
「習近平の夢」はまもなく絶望に変わる…「不動産不況」の次にやって来る中国経済の悲劇的な結末
プレジデントオンライン / 2024年5月6日 10時15分
-
中国「五・四運動」105年「建国」75年…そしてもう一つの節目とは?
RKB毎日放送 / 2024年5月3日 17時8分
-
中国、改正国家秘密保護法を施行 統制強化へ法整備加速
共同通信 / 2024年5月1日 1時18分
-
山下裕貴 目覚めよ日本 中国〝台湾侵攻〟の引き金5つ 内政の不満を反らすため開戦も「毛沢東を超え…歴史に名を残す」習近平氏の個人的野望
zakzak by夕刊フジ / 2024年4月24日 6時30分
-
中国人民解放軍情報支援部隊が発足、習近平主席が隊旗授与と訓辞
Record China / 2024年4月20日 20時30分
ランキング
-
1ラファ東部から「10万人退避させている」 イスラエル軍
AFPBB News / 2024年5月6日 16時28分
-
2勝敗のカギ握る?第三の候補に注目 アメリカ大統領選まで半年【現場から、】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年5月6日 12時12分
-
3バイデン政権、米国製弾薬のイスラエル輸送を停止か…ハマスとの戦闘開始後で初
読売新聞 / 2024年5月6日 17時10分
-
4ベルギーに亡命した中国内蒙古自治区政府の元法律顧問、逮捕時に没収された高価な孫文銀貨101枚の返還を習近平国家主席に要求
NEWSポストセブン / 2024年5月6日 7時15分
-
5習主席の妻、軍の審査委員就任か 香港紙報道、SNSに写真出回る
共同通信 / 2024年5月5日 23時20分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください