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フェイスブックの炎上と映画が発端でノルウェー政権解体の危機

ニューズウィーク日本版 / 2018年3月20日 14時30分



そう指摘する政治家や報道機関などは、後を絶たなかった。

ネットのヘイトスピーチを放置することの恐ろしさを、ノルウェーという国は身に染みて知っている「はず」だった。

それなのに、今、何が起きているのだろう。

政権に座る、国家の安全を守るはずのリストハウグ法務相のFacebookのコメント欄にあふれているものは、何なのだろう。テロの生存者が「恐怖を感じる」という憎悪の言葉が、そこには混ざっている。

世論を分裂させなければ、議論ができないのか

今、与野党や現地の大手伝統メディアからは、法務大臣の責任感と能力の欠如を指摘する声が相次いでいる(右翼ニュースサイトや支持者はリストハウグ氏を応援をしている)。

今回の議論で、大臣を批判した労働党青年部の生存者の一部には、「お前がウトヤ島で死ねば良かったんだ」という脅迫のメールや電話が届いている。

法務大臣のFacebook投稿が発端で、テロの生存者が殺害予告を受けているのだ。

警察には通報されているが、一部の生存者は、脅迫が原因で公の発言を控えている。

投稿を削除、政府と共に全面謝罪へ

Facebook投稿後、リストハウグ氏は5日後にやっと投稿を削除した。

後悔して削除したのではない、仕方なく削除したのだ。「政治的な目的で使用してはならない」として、権利元から削除を要請された。

ノルウェー首相も投稿を削除し謝罪するように指示していたが、リストハウグは首相の言うことを断固として拒否していたという。

「人々を傷つけた」。政権を代表して、首相も謝罪するという異例の展開となった。


閣僚のコントロールができていないと批判されるソールバルグ首相 Photo: Asaki Abumi

誠意のない謝罪だとして、野党から受け入れられず

だが6日後、事態は悪化した。国会審議では、与野党から批判の嵐を受けたリストハウグ法務大臣。初めて、彼女は何度も謝罪した。しかし、誠意ある謝罪ではないとして、野党を納得させることはできなかった。

この日、不信任案の前段階とされる「批判案」が、国会の大多数をもって法務大臣に対して可決された。

それでも騒ぎは収まらず、野党からは不信任案が提出される。

当初、現地メディアは、「不信任案が可決されることはないだろう」と想像していた。筆者もその一人。

なぜなら、政権と閣外協力するキリスト教民主党が、政権解体へとつながる恐れのある不信任案を支持するなど、「ありえない」ことだったから。

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