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「幸せな国」デンマークにあって我々にないもの

ニューズウィーク日本版 / 2018年3月27日 13時14分

<世界幸福度ランキングで7年連続トップ3入りを果たした幸せの秘密──
たとえばデンマーク人の95%は「いざというときに頼れる人」がいる>

国連は先日、「世界幸福度報告書2018」を発表。156か国を対象に実施された調査の結果、またもやデンマークが最も幸福な国のトップ3入りを果たした。7年連続の快挙だ。一方でアメリカは18位と、2017年から4つ順位を下げた。

デンマークが世界で最も幸福な国のひとつであることは、幸福度(あるいは心理学者たちが言うところの「主観的幸福度」)に関するそのほかの数多くの調査でも示されている。

ものごとを「どう測るか」については、科学者たちが好んで研究や議論を行っている。だが幸福度をどう測るかについては、全体的な合意があるようだ。

調査の範囲や目的にもよるが、幸福度の測定にあたっては多くの場合、客観的な指標(犯罪や収入、市民の社会参加や健康に関するデータ)と主観的な方法(人々がどれぐらいの頻度で肯定的/否定的な感情を経験するかを尋ねるなど)が使われる。

デンマークの国民はなぜ、自分の人生をより前向きに評価しているのだろうか。デンマーク出身の心理学者として、この問題を検証してみた。

確かに、デンマークは政府が安定していて公務員の汚職が少ない。質の高い教育や医療へのアクセスもある。一方で税率は世界で最も高い水準にあるが、国民の大半は喜んでそれを払っている。税金が高ければ、それだけ社会も良くなり得ると信じているのだ。

だがおそらく最も重要なのは、デンマーク人が「ヒュッゲ(hygge)」と呼ばれる文化的な概念を大切にしているからだろう。

2017年6月にオックスフォード辞典にも追加されたこの「ヒュッゲ」という言葉は、質の高い社会的交流をあらわす言葉だ。名詞や形容詞、あるいは動詞としても(たとえば「自分自身をヒュッゲする」のように)使うことができるし、イベントや場所についても「ヒュッゲリー(hyggelige)(ヒュッゲっぽい)」という言い方が使われる。

カギは「親密な関係」や信頼を築くこと

ヒュッゲは「心地よい状態」と翻訳されることがあるが、それよりも「意図的な親密さ」という定義の方が合っている。安定した、調和のとれた共有経験がある時の状態だ。暖炉の前で友人とコーヒーを飲んでいる時や、夏に公園でピクニックをしている時などが、これにあたるかもしれない。

家族でボードゲームやごちそうを囲む夜も「ヒュッゲ」だし、友人たちと集まって、ほのかな灯りの中で美味しいものを食べながら気楽に楽しむのも「ヒュッゲ」だ。特定の場所を「ヒュッゲリー」と表現することもある(「君の新しい家はとてもヒュッゲリーだね」)し、夕食に招いてくれた人に「ヒュッゲリーだった(楽しい時間だったという意味)」と感謝を伝えることもある。

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