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赤十字の人道支援がアサドを救う

ニューズウィーク日本版 / 2018年4月11日 18時20分

ICRCにとって最大の資金拠出国であるアメリカとの関係はどうか。マウラーによれば、トランプ政権が資金を断つ兆しはない。そして世界各地の紛争に首を突っ込む超大国アメリカとの関係は「極めて良好」だと言う。しかし、そう良好ではない関係があったのも事実だ。

そろそろ彼の宿泊先に車が到着という頃合いで、07年のICRCの報告書について聞いてみた。キューバのグアンタナモ米軍基地に、CIAのブラックサイト(テロ容疑者を拘束する秘密施設)経由で送られてきた人々が拘束されていると指摘した報告書だ。

ブラックサイトで水責めなどの陰惨な拷問が行われていたのは周知の事実。ちなみに次期CIA長官に指名されたジーナ・ハスペルは、以前にタイでそうした施設を管理していた。

マウラーは言葉を濁した。あの報告書はICRCが公表したのではなく、誰かがリークしたものだからだ。「私たちは収容所内で活動を可能にするためなら、秘密を伏せておく」

では一般論として、拷問に関与した者が政府の要職に就くことにICRCは反対するか?「それは私たちの決められる問題ではない」とマウラーは苦笑した。「もちろんICRCは拷問に反対しているがね」

相手がシリアでもアメリカでも、マウラーの戦略は変わらない。人々の苦しみを救うために、その苦しみをもたらす共犯者とでも協力するのだ。

From Foreign Policy Magazine

[2018.4.10号掲載]
デービッド・ケナー(フォーリン・ポリシー誌)


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