中途半端だったシリアへのミサイル攻撃

ニューズウィーク日本版 / 2018年4月16日 18時45分

もっともアサド政権の化学兵器による攻撃能力がゼロになったわけではない点は、複数の米高官が認めるところだ。ケネス・マッケンジー統合参謀本部事務局長は14日記者団に対し、攻撃はシリアの化学兵器関連施設の「心臓部」を叩き、数年分、後退させたと述べた。

その一方でマッケンジーは、化学兵器製造拠点の一部は残っていると認めた。「将来にわたってシリア政府の化学兵器攻撃が不可能になったと言うつもりはない」

化学攻撃に踏み切ったアサドの論理

アメリカとフランスの両国政府によれば、ダマスカス近郊のドウマでは4月7日、シリア政府軍のヘリコプターが塩素ガスを含む爆発物を投下し、女性や子供を含む50人近くが死亡、数百人が負傷した。ドウマはこの地域における反政府勢力の最後の拠点で、爆発物からはサリンの痕跡も見つかったとされる。

この攻撃を受けてトランプ大統領は、シリア政府とシリア政府を支援するロシアとイランに対し、「大きな代償を払うことになる」と警告するとともに、シリアへの直接攻撃を行うと言明した。トランプは1年前の4月6日にも、シリア政府が北西部ハーンシャイフーンで神経ガスを使ったことへの報復として空爆を命じている。

今回のミサイル攻撃に続きフランス政府とアメリカ政府はそれぞれ、ドウマへの化学兵器攻撃を行ったのはシリア政府だと結論づける詳細な報告書を発表した。

フランス政府の報告書によれば、化学兵器攻撃はこの地域の支配回復を目指したシリア政府軍による数カ月にわたる攻勢の総仕上げだった。

いったんは降伏を受け入れた反体制派との合意が破れた後、シリア政府は5500人の戦闘員が残るドウマへの攻勢を強めるため化学兵器の使用を決めたという。

「その結果、4月6日以降にシリア政府はロシア軍の支援を受け、当該地域への激しい爆撃を再開した」とフランスの報告書には書かれている。「こうした背景があってシリア政府が化学兵器使用に踏み切ったことは、軍事的観点からも戦略的観点からも理解しうる」



ホワイトハウスが13日に出した報告書では、ソーシャルメディアで流された証拠や非政府組織(NGO)の声明、ドウマでの塩素ガスの使用を示す動画や写真が取り上げられている。

また、化学兵器攻撃があった際にシリア政府軍のヘリコプターがドウマ上空を旋回しているところが目撃されているとし、「これらのヘリコプターから樽爆弾が投下されたことは多数の目撃情報から裏付けられている。樽爆弾はシリア内戦を通じて、一般市民を無差別に狙うのに使われてきた戦術だ」とも指摘した。

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