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「北の急変は中国の影響」なのか?──トランプ発言を検証する(前編)

ニューズウィーク日本版 / 2018年5月21日 8時0分

アメリカの商務省が4月16日、ZTEがイランや北朝鮮に違法に米国製品を輸出しながら虚偽の説明を繰り返したとして、アメリカ企業との取引を7年間禁じる制裁を科していたため、ZTEはスマートフォンなどの主力製品の生産や販売の停止に追い込まれるなど、中国は苦境に陥っていたからだ。

したがって、トランプ大統領のご機嫌を損ねてはまずいと、習近平国家主席はトランプ大統領との電話会談においても低姿勢を貫いていたのである。中国大陸内での雇用を奪われる危険性もあり、他のどんな犠牲を払ってでもZTEを通した米中貿易摩擦を回避したいと必死だった。



退路がなくなった証拠に、劉鶴一行はアメリカに着くと、最後の頼みのキッシンジャー氏に泣きついている。キッシンジャーの誕生日にかこつけて、劉鶴は16日、キッシンジャーと会談し、95歳の誕生日を祝福すると同時に、「トランプ・習近平」の仲がいいお蔭で、中米貿易関係も必ず改善されていくものと思うなどとキッシンジャー氏に述べている。

キッシンジャー氏はほかでもない、例のキッシンジャー・アソシエイツを通して、親中の米大財閥を次から次へと習近平の母校である清華大学に送り込んで、数十名から成る顧問委員によって水面下で米中の経済貿易を密着させている人物だ(詳細は『習近平vs.トランプ  世界を制するのは誰か』p.31)。

その効果があったのか、18日、トランプ大統領は突然、劉鶴副総理と会うと言い出し、中国側を驚かせた。この「突然」という情況は、CCTVで「叫ぶように」報道されたし、また中国政府系サイトでも、文字で見ることができる。このタイトルの「突然」の前にある「特朗普」という文字はトランプの中国語表現「特(te)朗(lang)普(pu)」である。

その席にはムニューチン財務長官だけでなく、ペンス副大統領までがいて、トランプ大統領は満面の笑みで「中国の副総理(副首相)」に対し異例の歓迎をしたと、中国では大変な扱いようだった。おまけにトランプ大統領はZTEの制裁を解除するとまで言っている。

さらに劉鶴側が単に「問題を適切に処理し」という言葉しか使ってないのに、トランプ大統領は「問題を積極的に解決し」という言葉を使っていると、中国の報道は熱を帯びていた。

このような米中貿易摩擦の分岐点に差し掛かる重要な時期に、習近平が金正恩に「米朝首脳会談開催も考え直さなければならないと恐喝しろ」などという趣旨のアドバイスなどをするはずがない。

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