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「北の急変は中国の影響」なのか?──トランプ発言を検証する(後編)

ニューズウィーク日本版 / 2018年5月21日 16時0分

A:そうだ。それからも分かるように米韓合同軍事演習の問題であって、中国とは無関係!そもそも4月にボルトンが「北朝鮮にリビア方式を使う」などと言ったこと自体が無謀で、核を放棄させた後に、カダフィーが血祭りに上げられて独裁政権は滅亡した。ボルトンがリビア方式を採用するなどと言った以上、北朝鮮がアメリカを信じることができるはずがない。それでもおそらくポンペイオと金正恩の間では「それはない」という話があったのではないか。

Q:しかし、11日からの米韓合同軍事演習が抑制的でなかったので、実はボルトン発言が本当で、アメリカはやはりリビアの時のように北朝鮮を騙すのではないかと、金正恩が危機感を覚えたので、16日の発言につながったとお考えですか?

A:まさに、その通り!きっと金正恩はそう思ったのではないかと推測する。

トランプにはブレインがいない?

Q:トランプは17日、アメリカは北朝鮮に対してリビア方式は取らないと明言しましたね。

A:まちがいなく、そう言った。だから、なぜトランプが「北の態度急変は中国の影響だろう」などと発言したのか、まったく理解できない。トランプの周りにはブレインがいないんじゃないかな。ひっきりなしに閣僚をやめさせているので、あの内閣はスカスカだ。彼に中朝関係の実態を教えてあげる人もいなければ、迷走にストップをかける勇気のある人もいない。

金正恩は習近平の言うことに従うか?

Q:金正恩は習近平の言うことに従うと思いますか?

A:思わない!絶対に思わない!もし金正恩が本気で中朝友好を考えているとすれば、6年ぶりに中朝首脳会談をして中朝蜜月ぶりを内外に見せながら、その舌の根も乾かぬうちに板門店宣言で中国を外した3者会談によって朝鮮半島平和体制構築を呼び掛けるなどという文言を入れたりするはずがない。......そうだ!そう言えば、トランプは金正恩が習近平の言うことに従うと思ったことになるので、それは金正恩に対して失礼に当たるだろう。金正恩は、トランプのこの言葉を知ったら、きっと怒るにちがいない。自分は、他の者から、このような重大な決断に関して指示を受けたりはしないと。



中国は金正恩を信じているか?

Q:なるほどね......、それは確かに言えますね。では、最後に一つ。答えにくいでしょうが、ずばり、中国は金正恩を信じていますか?

A:うーん、それはあまりに答えにくい質問だ。しかし聞きたい気持ちは分かる。うーん、困ったなぁ......。では、こうしよう。あくまでも私個人の意見として回答することにする。少なくとも私は、実はまだ金正恩を信じてはいない。いつ裏切られるか、まだ分からないからだ。現に、習近平と蜜月を演じて見せた後に、板門店宣言で「中国外し」をしたのだから、まだ何をするか慎重に見極める必要がある。ただこれだけははっきりと明言することができるが、中国は米朝首脳会談だけは実現してほしいと願っている。もし実現しなかったら、これまでよりも更に激しい米朝対立が生まれるはずで、それは軍事行動を招きかねない。それだけは避けたいというのが中国の本音だ。軍事衝突まで行かなかったとしても、また国連で制裁強化に中国も加わらなければならないのは、やっかいだ。改革開放が遠のいてしまう。北朝鮮の社会主義体制が崩壊するのは何としても避けてほしいと思っている。だから平和路線を望んでいる。

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