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「北の急変は中国の影響」なのか?──トランプ発言を検証する(後編)

ニューズウィーク日本版 / 2018年5月21日 16時0分

上が元中国政府高官への取材結果だ。

結論

19日には劉鶴一行の対米交渉において、中国側が対米輸入を大幅に拡大させることで合意したと米中が共同声明を出した。CCTVは「中米は貿易戦争をしないことで一致した」と劉鶴副総理の言葉を発信。この山場を乗り越えられるか否かが、中国にとっての最大の関心事であったことが窺える。

前編の考察と後編の取材により、北朝鮮が5月16日に、米朝首脳会談を開催するか否かに関して考え直した方がいいという趣旨の意思表明をしたことは、5月7日と8日の「習近平・金正恩」大連会談とは無関係であることが結論付けられる。トランプ大統領が大連会談を指して、「中国の習主席が影響を及ぼしている可能性がある」と発言したのは、妥当ではないと判断せざるを得ない。

但し、5月9日の中国共産党系メディア「環球時報」の社説「習近平・金正恩会談は半島の平和に強烈な推進力を与えた」を見ると、明らかに金正恩の大連訪問によって、「中国は北朝鮮の大きな後ろ盾である」という自信をつけたことが、一方では窺える。したがって金正恩の電撃再訪がトランプに何らかの圧力を掛ける結果になったことは否めないだろう。

それでも習近平が金正恩をそそのかしたことにはつながらないし、むしろ劉鶴がキッシンジャーと会談したことの方が米中貿易摩擦には功を奏したのではないかと判断する。


[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』(飛鳥新社)『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版も)『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。


※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

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遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)


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