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元CIA諜報員が明かす、ロシアに取り込まれたトランプと日本の命運

ニューズウィーク日本版 / 2018年5月23日 18時30分

ありがとうございます。ジーナ・ハスペルですが、彼女とはほぼ同世代です。あまりよくは知らなかったのですが、あらゆる点で彼女について言われていること――まともで有名で、プロフェッショナルとして有能でアメリカを救うと言う意味ではかなり功績があった――というのはその通りだと思います。だからといって、私の意見は変わりません。彼女をCIA長官に指名するのは恐ろしいことです。われわれは過去からは逃れられない。道義的な危機が時に起きます。選択の余地がない、あるいは選択肢が明確でない場合にどうするか。私がCIAにいた時に行われた、テロとの戦いにおける「高度な尋問」と言われたあのプログラムがまさにそれです。彼女を非難はしませんが、あのプログラムは大きな間違いでした。そういう人間を、拷問の加害者だった人物をアメリカの重要な立場に付けるということは、非合法的なやり方を正当化することにつながる。私はやはり反対です。

ロシアの諜報機関が果たして効果を挙げたのかどうか、ということですが、諜報機関の人間は自分たちの側に取りこむ人間を「アセット(資産)」と呼びます。どのアセットでもコントロールが完全に利く人間はありえない。確かにこの人物(トランプ)はアセットの中でもコントロールが利かなそうに見えます。例を上げますが、これまで75年間、ヨーロッパはアメリカの外交関係の戦略的な中心に据えられてきました。トランプを擁護する人たちは「ポーランドのNATO部隊を強化した」「ウクライナに武器を与えている。トランプはちゃんとやっている、必ずしもロシアに取り込まれているわけではない」と言います。これは全て戦術的な動きに過ぎない。より大切な、根本的な戦略的視点から見れば問題があります。

トランプはしぶしぶポーランドに部隊を増派しました。その直前のスピーチはメディアにあまり報じられていないのですが、そこで彼はプーチンをほめたたえたのです。ワルシャワのバルト黒海何とか、というプログラムだったと思いますが、そこでヨーロッパに関するプーチンの世界観を絶賛しました。それにはポーランドやハンガリー、スロバキアが入って来るのですが、これはNATOの同盟関係とEUを大きく損なうものです。一方でNATOの会合をトランプが呼び掛けて開いた、ということは一切ない。逆に「カネを出せ」と言うばかりです。1200人ぐらい増派したからといって、それが何でしょうか。根本的なところでアメリカの対ヨーロッパの関係が変わっていることが問題です。

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