元CIA諜報員が明かす、ロシアに取り込まれたトランプと日本の命運
ニューズウィーク日本版 / 2018年5月23日 18時30分
確かにオリガルヒの資金が流れているということは示唆されています。諜報機関の工作員たちがトルコのアントレプレナー(起業家)を通してフリンに資金を流していたことは分かっている。ロシアのこういう関わりについて、トランプ陣営に証拠を突きつけることはできるのかもしれません。
<フリーランスのシバタ・ユウコと申します。3つ質問させてください。1つ目はトランプについて孤立主義や一国主義と言われますが、これは彼がロシアに耳を傾けた結果なのか、もともと信念を持っていたのか。2つ目はトランプあるいはアメリカは中国と貿易戦争に向かっていますが、中国はロシアのいわば同盟国でもあるわけですが、今回の貿易戦争はロシアの利害にとってどうなのか。3番目はアメリカの政局についてです。若いミレニアルと呼ばれる世代はオバマ世代とも言われ、人種やジェンダーについて進歩的な見方をしている。ということは、10年先あるいは15年先には二極化の動きは解消されているのか。それとももうその時には遅すぎるのでしょうか。>
諜報機関の人間というのは、利用できる人間を常に探し求めています。トランプという人間はコントロールのできない、変えることのできない人間です。彼は一生涯、同じ信念を持ち続けた人間です。若い時から孤立主義や重商主義に凝り固まってきました。70年代のインタビューを見ても、まったく同じことを言い続けている。30年前は「日本がアメリカを貶めている」という言い方をしていたのですが、「日本」を「中国」に置き換えれば今もまったく同じことを言っている、ということが分かります。ロシアはそんなことは気にしていない。ロシアの利害にかなうならばそれは利用する。ロシアがこうすべきだ、と思う方向に誘導するということです。これは文字通り笑い話ですが、サウジアラビアにトランプが行った時、サウジ側は建物の全面にトランプの写真を掲げました。それでトランプはサウジが大好きになり、サウジは偉大な同盟国だともてはやしました。そういう人間なのです。
2点目です。中ロはアメリカと対立しているという意味では同盟国同士で、トランプの中国との貿易戦争はロシアについて見れば一貫性がない、という指摘はその通りですが、トランプの政策に一貫性を求めてはいけません。そんなことを期待してはいけない。彼にビジョンはまったくない。その場その場、その瞬間その瞬間の考えに突き動かされる人間で、矛盾だらけです。ですからロシアについても、必ずしもロシアの利害に一致していることばかりではない。ただ公平に言うならば、アメリカを含むどのような国のどのような政府も、全ての面で一貫した戦略を取り続けた国はないと思います。
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