ドル箱女優も即クビ、SNS時代の容赦ない危機管理
ニューズウィーク日本版 / 2018年6月1日 18時48分
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ウーバーも昨年2月、イスラム圏7カ国からの入国を禁止した米ドナルド・トランプ米大統領の大統領令に抗議してニューヨークのタクシー運転手がストを行ったとき、その隙にウーバーを使うよう宣伝して集中砲火を浴びた。スマホからウーバーアプリを削除しようと呼びかける「#DeleteUber」がツイッターで広まり、少なくとも20万人がアプリを削除した。
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今日のABCやユナイテッドやウーバーに起こったことと、20年前に起こっていたであろうことの大きな違いは、ネットによる拡散のスピードと規模、そしてネット世論の存在だ。
かつては、人々が今ほどのスピードと規模で問題提起し、動員する手段はなかった。1989年に米石油大手エクソン・モービルが起こした石油タンカー「エクソン・バルディース」号の原油流出事故では、人々の怒りが最終的に莫大な損害賠償につながったものの、原油流出の規模が明らかになるまで数カ月、補償金額の交渉には何年もかかった。
それに比べて、今の企業がミスを犯せば、ものの数時間で不買運動が起こったり株価が下落したりしかねない。
それは企業の危機管理がなっていない証拠だ、と言う専門家もいるが、本当の問題は、ソーシャルメディアの拡散スピードがあまりに速く、危機管理のプロに途方もない要求を突きつけていることだ。
ネット世論はどう拡散するか
ネット世論が拡散するメカニズムには主に2つある。
まずツイッターのようなツールでは、フォロワーが多くて影響力の大きい少数の個人が世論形成を担っている。ソーシャルメディアはその声を増幅し、拡散する。例えば「#DeleteUber」運動も、最初は、シカゴ在住のジャーナリスト、ダン・オサリバンが投稿した1本のツイートが始まりだった。
インターネットの社会的相互作用に関する研究でも、(多数のフォロワーを持つ)一握りの「シード(種)」ユーザーが、その人数に不釣合いな多大な影響力を持つことが分かっている。つまり拡散に必要なのは、多くのフォロワーを持つ数人の有名人に投稿を「リツイート」してもらうことだけ。そうすればほぼ瞬時に、数十から数百万人のユーザーを「召集」できる。
2つ目は、より多くのユーザーをオピニオン・リーダーが生まれて拡散していくこと。ソーシャルメディアの研究で「ホモフィリー」(「類は友を呼ぶ」傾向)として知られるように、ユーザーは互いに似た相手と気軽に交流する傾向がある。それが原動力だ。
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