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ドル箱女優も即クビ、SNS時代の容赦ない危機管理

ニューズウィーク日本版 / 2018年6月1日 18時48分

そこから生まれる運動はネット上で合流し、さらに大規模な運動に発展し、企業にとって無視できない存在になる。筆者が米ワシントン大学のヨン・タン教授(情報システム学)と米ジョージア州立大学のキャシュ・オウ准教授(コンピューター情報システム学)と共同執筆した論文では、ネット上の会話がいかに世論を形成するかをまとめた。

彼らと行った別の共同研究でわかったのは、ハッシュタグがひとたび一定の拡散数を超えると、その後の関連コメントは影響力を増幅しハッシュタグをますます拡散するようになることだ。

テレビは、一人の人の意見を一瞬で世界中に広げることを可能にしたが、ソーシャルメディアの力は世論形成力にある。多くの人にアッと言う間に届く力と合わせると、ネット運動は大きな力を発揮する。

企業へのメッセージ

では、企業としてはどうしたらいいのだろう。

消費者はしばしば、企業と「社会的契約」で結ばれていると考えている。企業は消費者のことを慮って当たり前、という感覚だ。怖いのは、その契約に違反したとみなされたとき。ユナイテッドのCEOが、乗客を引きずり降ろしたことを認めず「便宜を図ろうとしたのだ」と言って消費者を怒らせたのもそのためだ。

一部の企業は、反発に火をつけてしまいそうな社会や政治関係の問題には、ソーシャルメディアを使って機先を制することをすでに学んでいる。

だが、ユナイテッドの場合ほどひどいケースにはそれも役に立つまい。その代わり役に立つのは、手続きやプロトコル、コミュニケーションで柔軟になることだ。2017年の株主への手紙で、アマゾンのジェフ・ベゾスCEOはまさにそれを指摘した。「若手社員は失敗するとよく、決まり通りにやったのにと言う」 決まりにこだわることと企業を救うことは時としてイコールではない。

だがそれこそ、ユナイテッドのCEOがやったことだ。彼は、乗客を力づくて排除しようとした乗員の判断を弁護しようとしたのだ。その破滅的な結果を見ていたからこそ、ABCテレビは、ひとたび反発が広がり始めたとき、すぐに「ロザンヌ」打ち切ったのだ。

諺に言うとおり、「お客様は神様」だ。スピードがモノを言う今の時代にこそ、この精神は重要だ。その信用が破られたときは、企業は明快かつ能動的に修復を図らなければならない。ソーシャルメディアでマイナス情報が拡散し始めた場合には、とにかく迅速に対応すること。たとえ初動でいくつか過ちを犯してしまったとしても、やらないよりはいい。

Anjana Susarla, Associate Professor of Information Systems, Michigan State University

This article was originally published on The Conversation. Read the original article.


アンジャナ・スサーラ(ミシガン州立大学情報システム准教授)


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