米朝「核合意」の必要十分条件とは
ニューズウィーク日本版 / 2018年6月7日 15時45分
結果として北朝鮮側が歩み寄る態度を見せ始めたが、北朝鮮にとっても、取引可能なトランプの登場は千載一遇のチャンスである。米大統領と対等な立場で会うだけで、北朝鮮の指導者の国際的な地位が強まる。さらに体制保証を確実なものにできれば、三代にわたる金一族の悲願が達成されることになる。
これが、トランプが会談中止を表明してもなお、両者が会談実現に向けた事前調整を続けている理由だ。今後の展開については、現時点で予想することは困難である。会談は予定どおり6月12日に行われる見通しだが、延長または延期される可能性もある。また、1度では終わらず、2度、3度行われるかもしれない。もちろん、途中で会談が決裂する可能性も、排除はできない。トランプは、6月12日には何も署名しないと述べている。
果たして、米朝の対話が続くなかで非核化は達成されるのか。現時点では、非核化よりも、朝鮮戦争の終結に向けた動きが先に進む可能性が高い。確かなことは、米朝双方が譲歩をしなければ非核化に関する合意は結べないということだ。アメリカが求める非核化、そして北朝鮮が求める体制保証、それぞれのプロセスは複雑で時間もかかる。
両者が最初の会談後も引き続き対話の意思を維持していけるかどうかは、まずは目に見える形で両者が満足できる短期的な成果を生み出せるかどうかに懸かっている。
<本誌2018年6月12日号[最新号]掲載>
【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きをウイークデーの朝にお届けします。ご登録(無料)はこちらから=>>
小谷哲男(明海大学外国語学部准教授・日本国際問題研究所主任研究員)
この記事に関連するニュース
-
岩田明子 さくらリポート トランプ氏再任なら懸念される「北朝鮮外交」拉致問題解決を迫ることができるのか 暗殺未遂事件、自民総裁選にも影響
zakzak by夕刊フジ / 2024年7月17日 6時30分
-
露朝、軍事協力が加速「北朝鮮がウクライナに派兵」の情報、見返りはミサイル精密誘導技術か 日本は3方面と対峙することに
zakzak by夕刊フジ / 2024年7月16日 6時30分
-
米シンクタンク「トランプ氏、大統領再選で韓国の核武装容認の可能性」
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年7月10日 18時2分
-
イランの核武装への兆候か? イスラエルとの初交戦と大統領墜落死が示すもの
ニューズウィーク日本版 / 2024年6月27日 12時40分
-
〈プーチン電撃訪朝で遅刻!〉それでも金正恩は大歓迎。会談の核心は7回目の核実験のお墨付きか?米大統領選前の決行ならバイデン政権に打撃
集英社オンライン / 2024年6月19日 19時57分
ランキング
-
1トランプ氏登場で初日から最高潮の共和党大会 「顔が疲れている」と心配の声も
産経ニュース / 2024年7月16日 21時33分
-
2タイ・バンコクの高級ホテルで6人死亡 毒物を摂取との情報も
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年7月16日 23時32分
-
3情報BOX:関税引き上げや不法移民送還、トランプ氏「2期目」の公約
ロイター / 2024年7月16日 18時5分
-
4オマーンでシーア派モスク襲撃6人死亡、「イスラム国」が犯行声明
ロイター / 2024年7月17日 9時45分
-
5フィリピンで日本人4人拘束 日本から逮捕状 カンボジア拠点の詐欺グループか
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年7月17日 11時23分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください