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コロンビア大統領選に勝利、ドゥケは半世紀ぶりの和平を危険にさらす?

ニューズウィーク日本版 / 2018年6月19日 18時29分

一部の人々は、ドゥケの勝利はウリベ政策の復活だと受け止めている。

「ドゥケには選択肢が2つある。ウリベの操り人形になるか、ボスに逆らうか。後者を選ぶとは思えない」と、アイダ・アベジャ上院議員は本誌に語った。アベジャはペトロを支持した政党グループのメンバーだ。「ウリベはコロンビア政治に、戦争と皆殺しというやっかいな歴史を残した。コロンビア人は『偽陽性事件』を忘れない。ウリベ支持者の中にもそう考える人はいる」

それでも一部のアナリストは、ウリベがドゥケを介して院政を敷く可能性もあると考えている。

「ボス」と距離を置くことができるか

「どうなるかは分からない。(現大統領のフアン・マヌエル・)サントスもウリベの子分だったが、(当選後に)たもとを分かった。ドゥケは今のところ独立した個人らしさにも政治的な経験にも欠けるが、権力の座についてからどう化けるかは未知数だ」と、コロンビア大学のクリストファー・サバティーニ講師(国際公共政策)は本誌に語った。

民主中道党の議員の中には、院政の可能性を否定する人もいる。「ドゥケは自分でものを考え、自分の決断ができる気骨ある人物だ」とパロマ・バレンシア上院議員は本誌に語った。「ウリベは政界で私が出会った中でも最も尊敬すべき人物の1人だし、そばで仕事をした4年間、彼から命令されたことは一度もない。ドゥケ政権は、コロンビアにとってウリベがどれほどすばらしい存在だったかを見直すきっかけになるだろう」

同じく民主中道党のマリアデルロサリオ・ゲラ上院議員は本誌に対し、「わが党の創設者はウリベであり、ドゥケがわが党に所属する以上、完全にたもとを分かつとは考えられない。彼は(党の)仲間の主義主張を尊重するだろうし、重要だと思う事項についてはウリベに相談するはずだ」



ドゥケはかつて、児童虐待や殺人への刑罰を重くする法案を提出したことがあるほか、量にかかわらず薬物所持を禁止することを提案したこともある。だが警察力の強化を目指したとしても、国内の治安状況は改善しそうにない。

「少なくとも当面は、犯罪は増加するだろう。今年の1~4月の殺人の件数は前年の同じ時期と比べて11%も増加している。武装・犯罪組織が細かく分裂し、互いに競合しているのが大きな理由だ」と、人権団体「ラテンアメリカに関するワシントン・オフィス」のアダム・アイザックソンは本誌に語った。

「もう1つの理由は、コロンビア政府が和平合意というチャンスを生かして元戦闘員を社会復帰させ、(ゲリラの支配下にあった)地方での存在感を強めるのに失敗したことだ。紛争の多いコカ栽培地帯には今も政府の手が届いていない。そうした真空地帯をどう埋めていくかについて、古くさい強権的なアプローチ以外のドゥケの提案を私は寡聞にして聞いたことがない」とアイザックソンは言う。

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