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アジア駐在の欧米特派員はセクハラ男だらけ

ニューズウィーク日本版 / 2018年6月21日 18時0分

被害を受ける「現地スタッフ」

セクハラがまかり通るアジアの文化に浸っている男たちは、アジア発の報道をゆがめかねない。何しろ女性の同僚を餌食にしている人物がニュースの書き手になるのだ。セクハラ常習犯が、アジアの女性の苦しみをテーマにした報道で主導的な役割を果たし、人権についての特集を組んだと胸を張る姿を、私は何度も見てきた。

あまりにも多くの記事がアジアの男だけを取り上げ、女はセックスの対象か犠牲者として片付けている。こうした見方と、それに基づく偏向した報道は、アジア全域に見られるパターンだ。

仲間うちのそんな環境に反発し、女性のために声を上げた男性もいるが、彼らはごく少数だ。香港や中国で出会ったメディア業界の男たちの特権意識や行動は、故郷カナダのバンクーバーや、学生時代を過ごしたニューヨークでは目にしたことがない。



人民大会堂の取材風景。中国でも欧米人男性記者によるセクハラが問題に Damir Sagolj-REUTERS

観光客のみならず、男は母国を離れると性的なご乱行に走りやすい。最悪の被害はジャーナリズムや外交団、多国籍企業など、影響力のある特権的地位にいる男たちがもたらしている。

ニューヨークでなら解雇されかねない行動でも、北京やクアラルンプールの駐在員事務所では本社に報告されず、そもそも被害を報告する仕組みがない場合もある。事件が報告されても、加害者の特派員がアジアの別な地域に移されるだけで終わる例も多い。

「国外、特に中国や東南アジアに派遣された多くの男性が、女性に対して困った見方をしていると思う」と、中国南部に駐在する男性写真家は言う。「セックスが非常に容易にできて、しかも地元の女性が白人男性を特別視するような場所では、それにつけ込む男たちがいるものだ」

国際メディアの駐在事務所は、翻訳や調査の作業を行い、面倒な取材手続きを処理するための「現地スタッフ」を採用する。だが支払う給料は、特派員の収入の数分の1だ。この不平等な力学によって問題は悪化する。

中国では、こうした「ニュースアシスタント」は主として若い女性が担う。このパターンは、仕事に必要な英語力を備えた人材が女性に偏りがちな他のアジア諸国でも似たようなものだ。

「地元で仕事をするノウハウがある人材に、然るべき待遇が与えられていない。法律や労働組合の支援はもちろん、当たり前のサポートや教育的支援もない」と、香港生まれのジャーナリスト、ディディ・カーステンタトローは言う。遠く離れた本社は、現地スタッフの存在さえ知らないかもしれない。

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