社員を幸せにしてくれる「ホワイト企業」の絶対条件
ニューズウィーク日本版 / 2018年6月22日 16時9分
<高額の旅行補助から無期限の休みまで、欧米企業は社員を幸福にしようと必死だが、本当の幸せは物質的な特典ではなく人間として扱ってもらうことにある>
グーグルがソフトウエアエンジニアのチャディー・メン・タンを「愉快な仲間」というポジションに就けた時から、メンのキャリア、そしてシリコンバレー全体のカルチャーは大きく変化し始めた。
明るい人柄とやる気のある働きぶりで評価されていたメンは、モバイル端末用の検索ソフト開発から、社内に幸福を広げる仕事の担当者になった。幸福が彼の仕事になったのだ。
社員の満足度を向上させる専任を任命したのは、グーグルが初めてではない。グーグルがまだベンチャーだった1999年には、フランスのファッションブランド「キアビ」がクリスティン・ジュターをCHO(最高幸福責任者)に任命した。彼女はこうした職務に就いた最初の人物の1人だ。
しかしグーグルがメンをこの職務に登用して以降、従業員の満足度はよい企業の重要な指標となり、他社もすぐにこの方針に続いた。
CHOは今も引っ張りだこだ。SNSの「LinkedIn(リンクトイン)」ではCHOの求人が1000人以上もある。しかし何が従業員を幸福にするかを調べてみると、多くの企業が間違ったやり方を行っていることがわかる。
仕事の幸福への正しい投資とは
理論的には、幸福な従業員は生産性が高く、生産性の高い従業員はより大きな利益を生む。
さらに二次的な利点として、幸福な従業員は会社を辞めない。辞める社員が少なければ採用コストを削減でき、さらに利益が増える。幸福感を高めるために多くの投資を行っている企業のほとんどは、投資に見合うリターンがあると考えている。
例えば、ホテルや航空券の予約サイトを運営するエクスペディアは、従業員の幸福のために多くの社員特典を用意している。1人あたり最大1万4000ドルの旅行手当もその1つだ。他には、幸福レベルを高く維持するために無期限の休暇や無料の食事、オフィス用のおもちゃまで用意している。
しかし従業員の幸福は、お手玉や卓球台からは生まれない。エクスペディアの例が示しているように、同社がイギリスで最も人気のある職場になったのは、企業の「カルチャー」や「キャリアアップのチャンス」のためであって、さまざまな特典のためではない。
幸福な企業カルチャーは、長い休みのような見せかけの幸福とはまったく違う。幸福な企業カルチャーとは、職場の人々を尊重し、あら探しではなく称賛と報酬によって管理し、各人が理想のワークライフバランスを実現できる柔軟な勤務体系を提供することだ。
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