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金正恩は非核化するしかない

ニューズウィーク日本版 / 2018年7月9日 12時30分

A:同じ日の首脳会談で習近平が何と言ったかを思い出してほしい。習近平は「半島の非核化実現に向けた(北)朝鮮側の立場と決意を高く評価し積極的に支持する」と言っている。



Q:だから「中朝で一つの参謀部」は、あくまでも「段階的非核化への闘い」と解釈していいのか?

A:その通りだ。金正恩の非核化への決意は固いと中国は信じようとしている。しかしそれを実行するには(北)朝鮮人民の支持と納得がなければ、いくら独裁でもできない。金正恩は核保有強硬派である軍部幹部を下野させて経済発展を擁護する軍人たちを起用している。非核化に進むことは金正恩にとって国内的に厳しい状況にあるので、せめて経済的に豊かになったことを朝鮮人民に見せなければならない。中国が北を経済的に支援するのは、北の非核化を順調に進ませるためだ。

概ね以上が、取材結果だ。

ポンペオ米国務長官の訪朝と北の反応

7月6日、ポンペオ米国務長官が訪朝し、金英哲(キム・ヨンチョル)副委員長と会談した。7日夜、朝鮮中央通信は、アメリカの態度を「実に遺憾極まりない」と批判する北朝鮮外務省報道官の談話を発表した。また「非核化問題とともに、朝鮮戦争の終戦宣言に関する問題などを並行して扱うことを提案したのに対し、アメリカ側は一方的に非核化だけを要求した」「アメリカ側は、完全で検証可能かつ不可逆的な非核化など、一方的で強盗的な要求だけを持ち出した」と非難した。

その一方では、金正恩によるトランプ大統領宛ての親書をポンペオに渡し、そこには「首脳会談を通して結んだ関係と信頼が、今後の対話でさらに強固になるだろう」と、トランプを持ち上げる内容が書いてあったという。

中国の中央テレビ局CCTVは、8日昼のニュースでポンペオ訪朝と北の反応に関して長い時間を割き、特集を組んだ。

番組は、これはあくまでも金正恩の戦術であって、一種の「駆け引き」にすぎないと解説している。事実、アメリカ政府の官僚も、北朝鮮が不満を表明したことに関して「一つの交渉戦術にすぎない」と見ているとのこと。

当面は経済支援をしてくれる中国の側に

思うに金正恩としては、今年9月9日に迎える建国70周年記念までに、なんとしても対話路線に転換したことによるメリットを自国民に見せなければならない。そのためには「完全非核化を見届けるまでは制裁を解除しない」アメリカよりも、北朝鮮の非核化と改革開放を促すために即座に経済支援をしてくれる中国の方が、当面はありがたいに決まっている。

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