【写真特集】写真家たちが映し出した自分自身の「ホーム」
ニューズウィーク日本版 / 2018年7月18日 19時30分
<世界的な写真家集団マグナム・フォトが富士フィルムとの共同プロジェクトで表現したのは、写真家自身が映し出した自分たちのありのままの生活>
それは住む家であり、家族との心のつながりであり、自らのルーツである──。「HOME」というテーマを提示された写真家たちはそれぞれの考えとスタイルと感性に従って、普遍的かつ個人的なこの言葉を表現した。
「HOME」は富士フイルムとマグナム・フォトの共同プロジェクトで、ここで紹介するのはその作品の一部。マグナムは写真家の権利と自由を守る目的で設立され、写真の記録性と芸術性を融合させてドキュメンタリー写真の地位を確立した世界的な写真家集団だ。
HOMEは難しいテーマだったと、マグナムの文化企画担当ポリーヌ・ベルマールは言う。他者に目を向けてきた写真家たちが、自身の生活に焦点を当てることは非常にまれだからだ。
家庭の事情で若くして故郷を離れ、各地を転々としてきた写真家モイセス・サマンにはこの挑戦が一種のセラピーになった。「自分がどこから来たのか知ることができた」と彼は言う。
写真展『FUJIFILM×マグナム・フォト共同プロジェクト「HOME」』は世界各都市を巡回中。日本では7月20~30日に代官山ヒルサイドテラスで開催される。
<Photographs by Jonas Bendiksen>
これらの写真は、未来を含めた私の作品の中でも最も大切なものとなった。ビリーが生まれ、赤ちゃんだったボーがお姉さんになった今年の夏を、私は決して忘れない。20年後、彼女たちはどうなっているだろうか。これは無限の可能性を秘めた2人のかわいい子供たちと妻アンナ、そして私のタイムカプセルだ。
──ジョナス・ベンディクセン
<Photographs by Thomas Dworzak>
1946年に追放されるまで、自宅と農場があったチェコの村モラビアを見下ろす高台を歩く父
父はチェコスロバキアから追放され、難民となってドイツにやって来た。「鉄のカーテン」から程近いバイエルン州の小さな町で育った私は、カトリックの教えと田舎くささと秩序と平穏で息苦しいほど硬直した世界から抜け出したい、とずっと願っていた。
やがて私は、ジョージア(グルジア)の首都トビリシに住まいを見つけた。それから30年、その地の歴史的に最も暗い瞬間と、21世紀の成功物語を体験してきた。私は常にトビリシの友人や町の匂い、言葉や音や味に恋焦がれている。意識的に長期間にわたってジョージアから距離を置くようにしているのは、いつでも戻れると思っているから。それでも、私が外国人であることに変わりはない。
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