1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

誰に見せるためか?――金正恩氏、経済視察で激怒

ニューズウィーク日本版 / 2018年7月26日 17時50分

中朝貿易の80%は、「新義州-丹東市」の窓口を通して行われている。

そのため、7月23日付のコラム<中朝国境、丹東市に住宅購入制限令>に書いたように、中国ではすでにその機運を感じ取って、商売人たちが丹東市に殺到しているのである。

ポンペオ国務長官訪朝時にも金正恩は中朝国境の経済開発区を視察

7月6日と7日、アメリカのポンペオ国務長官が訪朝した。米朝首脳会談における非核化等の約束事を実行に移すための具体案を話し合うためだ。

だというのに、この2日間とも、金正恩は平壌におらず、ポンペオと会うことはなかった。中朝国境沿いの三池淵(サムジヨン)にあるジャガイモ農場にいたのだ。北朝鮮の朝鮮中央通信が7月10日、10枚ほどの写真とともに金正恩が現地指導する様子を報じた。

三池淵は遼寧省より北の吉林省との国境地帯にある長白山=白頭山(ペクトゥサン)の東南側の麓で、鴨緑江(おうりょっこう)や豆満江(とまんこう)の源流地帯に位置する。

ジャガイモ農場視察の目的もまた、経済開発に専念すると同時に、トランプ大統領(が派遣したポンペオ)よりも習近平による要求の方を重んじているというシグナルを習近平に送ったことにある。

おまけにポンペオが北朝鮮を離れると、非核化に対するアメリカ側の要求を「まるで強盗のようだ」と罵倒して、習近平を喜ばせた。

この「強盗」という表現は、米中国交正常化をする前の中国において、よく使われたアメリカを指す言葉で、特に朝鮮戦争時代、中国ではアメリカを「狗強盗(ゴウ・チャンドウ)」(犬のような強盗)という言葉で表現していた。この観念を共有している中朝間で、このたび北朝鮮が「強盗」という言葉を使ったことは、金正恩の習近平への「すり寄り」と解釈することができる。

経済視察で激怒

7月17日の朝鮮中央通信は、金正恩が北東部の咸鏡北道(ハムギョンプクト)にある漁郎川(オランチョン)水力発電所建設現場やカバン工場、温泉休養所などの視察を行ない、相次いで激怒したと伝えた。



発電所は1981年に建国の父、金日成(キム・イルソン)が建設を指示しており、ダム建設に着工してから17年も経っているというのに、まだ完成していない。内閣の担当幹部はここ数年、一度も現場を視察せず怠慢をしている。そのことに金正恩は激怒し「言葉も出ない」「なぜ、こうなるまで!」と憤慨したとのこと。

清津(チョンジン)のカバン工場では「陳列棚がみすぼらしい」「カバンが改善されていない」と怒り、温泉休養所では浴槽が「魚の水槽にも劣る」と激怒。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください