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誰に見せるためか?――金正恩氏、経済視察で激怒

ニューズウィーク日本版 / 2018年7月26日 17時50分

いたるところで経済発展の遅れと怠慢を怒りまくった様子が報道された。

北朝鮮国内に対して経済開発の緊迫性を訴えるという目的は事実上あっただろうが、これらもやはり、習近平に見せるためであったことが明らかになっていく。

北朝鮮の国際部副部長が訪中――党と党の間の経済協力

7月23日、朝鮮労働党の柳明鮮(リュ・ミョンソン)国際部副部長が訪中した。金正恩が経済視察で激怒したことが報道されて、約一週間後のことだ。

中国共産党系のウェブサイト「参考消息網」は柳明鮮氏が高麗航空に乗って北京首都国際飛行場に着いたと報道した。柳明鮮氏は今年5月14日(~24日)に朝鮮労働党の朴泰成(パク・テソン)副委員長を代表とする朝鮮労働党(経済)視察団が訪中した時にも同行しており、また4月に中共中央対外聯絡部の宋濤部長が訪朝して金正恩に会った時にも同席していた。宋濤は4月13日に朝鮮労働党中央国際部の招聘を受けて、中国芸術団「四月の春」を引率して訪朝し、4月14日に金正恩と会談していた(新華社が伝えていた)。

中国は新義州と丹東市をつなぐ「新鴨緑江大橋」(高速道路橋)建設および中国対岸の北朝鮮側の道路修復のための話し合いを中心として大規模な中朝経済協力を討議するものとみなされている。これは中国共産党と朝鮮労働党という両党間の協力関係であると中国は位置付け、国連安保理制裁による「国と国の間の制約」を受けないとしている。

韓国はポンペオ発言に同調

韓国の文在寅大統領は、どの国よりも率先して南北融和を訴え、対北制裁を緩和したいと願っていることを隠しきれないでいた。しかし米韓軍事同盟があるので、アメリカの顔色を窺いながらでないと緩和はできない。



その苦しい立場を、韓国の康京和(カン・ギョンファ)外交部長官が如実に吐露している。7月23日、「仁川聯合ニュース」は、アメリカから仁川国際空港に到着した康京和が、対北朝鮮制裁緩和の可能性について、「今は緩和する段階ではない」との認識を示したと報道した。彼女は、韓国政府が国連安全保障理事会の理事国に対し、対北朝鮮制裁の緩和を強調したのではなく、あくまでも「南北事業に必要な制裁の例外を認めてもらうためのものだった」と、何とも苦しい弁明をしている。

「制裁緩和のためには北朝鮮の実質的な非核化の措置が取られなければならない」というアメリカの立場に同調したことを示している。

韓国がこのようでは、金正恩としては当面はますます習近平にすり寄るしかないのだろう。

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