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メキシコ国境で足止めされる移民の叫びを聞け

ニューズウィーク日本版 / 2018年7月31日 19時0分

かつて国土安全保障省の法務担当だったスティーブ・レゴンスキーに言わせれば、そんな条件を付けられたら実質的に誰もアメリカに亡命できなくなる。

このままでは、アメリカ同様に移民への対応に苦慮しているメキシコとの対立は避けられない。先の選挙で勝利し12月に大統領就任予定のアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドールはトランプの移民排斥に徹底抗戦する構えで、米国内の「メキシコからの移民」の権利擁護にも尽力するとしている。一方で治安担当者は、国内を通過する「移民の抑制に軍や警察を使うことはない」と明言している。

だから移民はティフアナに滞留する。ナイジェリアから来たスティーブは今日も教会の食堂でシチューをすすっていた。亡命申請者は強制送還だという噂がある以上、国境には近づけない。ティフアナの町で洗車の仕事をしながらスペイン語を覚え、ひたすら待つ。「やっぱりアメリカへ行きたい」からだ。「人間らしい暮らしがしたい。ただそれだけなんだ」

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[2018.7.31号掲載]
モリー・オトゥール


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