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偉大な保守の政治家、翁長雄志氏の愛国心

ニューズウィーク日本版 / 2018年8月27日 15時30分

沖縄の将来にとって、自然豊かな辺野古の海を埋め立て、県民の手が届かない国有地に、耐用年数200年ともいわれる基地を建設することは、やはり何があっても容認することはできない。私は、今後とも辺野古に新基地は造らせないとの公約の実現に向け、不退転の決意で取り組んでまいる。

出典:沖縄タイムス、2015年11月18日、知事会見



しかしながら本土の「自称保守」は、翁長知事の辺野古米軍基地新設反対の姿勢のみを切り取って翁長を左翼=パヨクと罵り、デマを以てこれを陥れようと画策してきた。繰り返すように本当の保守・愛国者はどちらなのだろうか。

翁長を罵ってきた「自称保守」は、翁長が基地経済の時代に生まれ、米軍基地と沖縄経済という現実の狭間で政治家として、愛国者としての信念を貫いてきたという事実すら、何も知らないのでは無いだろうか。

翁長は前掲書でこのような奇妙な本土の「自称保守」の様子をこう記述している。



銀座でプラカードを持ってパレード(オスプレイ撤回・東京要請行動、2013年2月)すると、現場でひどいヘイトスピーチを受けました。巨大な日章旗や旭日旗、米国旗を手にした団体から「売国奴」「琉球人は日本から出ていけ」「中国のスパイ」などと間近で暴言を浴びせられ続けました。(中略)

要請行動の参加者の多くは、沖縄の基地問題に関する本土の無理解と無関心に初めてぶつかり、ショックを受けたようでした。こうして現政権の政策に異を唱えるだけで、たとえばインターネットでは、私が共産党員だとか、長女が中国の外交官と結婚しているとか、次女が中国に留学しているとか、根も葉もないデマがあふれ返ります。

出典:前掲書

繰り返すように翁長は一貫して保守の家庭に生まれ育った自民党員であった。そして沖縄の自民党員として、また日本国民として行動した翁長を、売国奴、中国のスパイなどと根拠無く罵ってきた本土の「自称保守」。この倒錯した状況を、私は異常だと思う。彼ら「自称保守」の罪は海よりも深く山よりも高い。

本当の保守、本当の愛国者とは何なのか?逝去した翁長は、天国から今も私達に問い続けているかのように思えてならない。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

[執筆者]
古谷経衡(ふるやつねひら)文筆家。1982年北海道生まれ。立命館大文学部卒。日本ペンクラブ正会員、NPO法人江東映像文化振興事業団理事長。著書に「日本を蝕む『極論』の正体」 (新潮新書)の他、「草食系のための対米自立論」(小学館)、「ヒトラーはなぜ猫が嫌いだったのか」(コアマガジン)、「左翼も右翼もウソばかり」(新潮社)、「ネット右翼の終わり」(晶文社)、「戦後イデオロギーは日本人を幸せにしたか」(イーストプレス)など多数。最新刊に初の長編小説「愛国奴」、「女政治家の通信簿 (小学館新書) 」


古谷経衡(文筆家)


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