「辺野古の海は、新法がなければ基地にはできない」木村草太教授インタビュー
ニューズウィーク日本版 / 2018年9月18日 15時30分
そうなると、公有水面埋立法の「埋め立ての合理性」の要件を満たさないので、埋め立て承認処分は公有水面埋立法に違反している、というのが私の主張だ。埋め立てても使えないのであれば、埋め立てることに合理性がない。<「公有水面埋立法 4条 1項 1号『国土利用上適正且合理的ナルコト』>
公有水面埋立法上の合理性の要件を満たすには、埋め立てた後に基地として使えないといけない。基地として使うためには、沖縄県と名護市の自治権を排除する法的根拠が必要だ。その法的根拠を整えるには、法律を作らなければならない。その法律を作った場合は特定の自治体に適用されるので、住民投票が必要だ。
――住民投票が必要だったとして、では住民投票をするためにはどうすればいいのか。
埋め立て承認の取り消し訴訟の際、今話したことを沖縄県側も主張した。これに対して16年9月16日、福岡高裁那覇支部は、基地使用に伴う自治権の制約は、日米安保条約・日米地位協定という条約に基づくものだから、法律の根拠がなくても憲法上の問題はないとした。また、この判断を、最高裁も支持した。
しかし、自治権の制限には何が必要なのか。法律だ。それなのに、条約があれば足りるとする判決を高裁と最高裁が書いていて、私はそもそもその判決が不当であるという立場だ。
最高裁は真面目にこの争点を判断していないので、新しい県知事なり名護市長がこの理屈でもう一度提訴してみる価値はあるのではないかと思っている。この点を争点にして、そもそも自治権制限の根拠がない状態では米軍基地として運用できないはずであるから、(埋め立て承認を)撤回するという主張をしてみてもいいと思う。
【参考記事】 TBS松原耕二が書いた、翁長知事への「別れの言葉」
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小暮聡子(本誌記者)
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