米利上げは2021年まで続く?ローン返済を通じて家計を直撃
ニューズウィーク日本版 / 2018年9月27日 15時30分
<0.25ポイントの利上げで住宅ローンの月々の支払いは100ドル増加。金利がどこまで上がるか消費者は気が気ではない>
米連邦準備理事会(FRB)は9月26日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを決定した。短期金利の指標であるフェデラルファンド金利(政策金利)の誘導目標は1.75〜2%から2〜2.25%に、0.25%ポイント引き上げられた。FRBは米経済の力強い回復に自信を強めており、今後どこまで利上げが進むか注目されている。
政策金利の上昇は、住宅ローン、クレジットカードなどの変動金利や預金金利の上昇に直結するため、アメリカ人の家計に直接的な影響を及ぼす。今年12月にも利上げが実施される見通しで、来年以降も段階的な利上げが続くとみられるが、気になるのは金利がどこまで上がるかだ。
FRBはリーマン・ショック後の景気浮揚策として2008年末に政策金利の誘導目標を0〜0.25%とする「ゼロ金利政策」を実施、2015年末まで続けた。米経済が安定した成長軌道に乗った今、FRBは中立的な水準まで金利を引き戻すため、今年中に4回の利上げを実施すると発表していた。今回は今年に入って3回目、前回から3カ月ぶりの利上げだ。
「金利は今後も上がり続ける」と、個人投資家向け情報サイト「マグニファイマネー」の共同設立者ニック・クレメンツはUSAトゥデーに語った。「ローンを抱える人は家計が苦しくなり、貯金のある人は潤うということだ。ローンがあるなら、今のうちにできるだけ低金利のローンに借り換えたほうがいい」
トランプは不快感あらわ
FOMC参加者からは利上げは2020年で打ち止めになるという見通しも聞かれたが、ジェローム・パウエルFRB議長は記者会見で、米経済は「輝かしい局面」にあるとして、段階的な利上げは「強い経済を保つのに役立つ」と述べた。
バンクオブアメリカ・メリルリンチの短期金利戦略チームを率いるマーク・カバナは2021年まで利上げが続く可能性もあると、CNBCに語った。「データを見れば明らかなように、米経済は引き続き強く、貿易摩擦の最悪のシナリオも杞憂であることがわかった」
政策金利の誘導目標の引き上げは2021年まで続き、最終的に3.5%になると、カバナはみている。
米株式市場は今回の利上げを織り込み済みだったが、FRBの声明から金融政策の運営姿勢は引き続き「緩和的」との文言が削られたため、今後の利上げ動向への不透明感が広がり、株価は終盤に下げに転じた。
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