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シリコンバレーの異端児、マスクとテスラは成熟へと脱皮できるか

ニューズウィーク日本版 / 2018年10月2日 15時45分

それでは、マスクとテスラは、このまま苦境に陥ってしまうのだろうか?

しかしペイパルの創業も、現在に至るスペースXの試行錯誤も、これまでマスクが乗り越えてきた試練は並大抵のものではなかった。技術面でも、資金調達という面でも綱渡りの経営を続けてきたマスクは、まさに起業家精神の塊のような人物だ。そのマスクは、現在のテスラをどう舵取りしようとしているのか?

1つの考え方は、今回はベンチャー流の「奇手」で突破する局面ではないということだ。テスラ車の生産にしても、自動運転ソフトの高度化にしても、ここは自己流を貫くのではなく、協業先とのチームワークで乗り越えるべき課題だろう。資金調達も同じだ。上場を維持して、市場の監視を受けつつ進めるのが正道だ。

元来ベンチャー企業のテスラに、常識的な企業への転換を求めるべきではないという声もあることは事実だが、既に年間10万台以上の車が路上に出ている現在、テスラは人命を預かるビジネスになっている。自動運転機能で現状以上の自動化を実現するためには、さらに信頼度を高めて各国の監督官庁などと協調し、交通法規の枠組み作りに参加していかなければならない。

9月に入ってからも、マスクがインタビュー番組で「マリフアナを吸引」して見せたり、テスラ幹部の辞任が続くなど、迷走が止まらない印象を与えている。しかしテスラもそしてマスクという経営者も、シリコンバレーの異端児というフェーズから、成熟した企業、経営者へと脱皮すべき時期を迎えていることは理解しなければならないだろう。

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冷泉彰彦(在米作家・ジャーナリスト)


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