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芸能界に続いてインターポール、中国でいま何が起きているのか

ニューズウィーク日本版 / 2018年10月11日 12時40分

周永康の流毒

10月7日、中共中央紀律検査委員会のホームページに、「孟宏偉はいま収賄などの違法行為に関して国家監察委員会の取り調べを受けている」という文字が踊った。同時に孟宏偉が既にインターポールに辞表を提出したという情報も発表された。

そして10月8日、公安部は孟宏偉を収賄容疑で取り調べ中であることを認めるとともに、「周永康の流毒の影響を徹底して粛清しなければならない」とも述べている。

この「流毒」というのは、こういうことだ。

一般に大物腐敗官僚がいると、その部下は腐敗をしないと睨まれる。いつか上司を告発する可能性があると疑うからだ。そこで部下は、必ずしも腐敗に手を染めたいとは思わない場合でも、上司に倣って腐敗に手を染め、それを周りに伝染させて行き、一つのグループができ上がるのだ。

「毒」はこうして広がり、仲間を増やして「流れて」いく。

これを中国では「流毒」と表現する。

ある裁判官が、どうしてもこの流れに乗るのを潔しとせず辞職してこのカラクリを公表したことも、「流毒」の実態を明らかにする一助になっている。

インターポールの総裁をターゲットにしたのは、習近平がメリットよりディメリットの方が大きいと判断したからだろう。

「国家監察委員会」の立場からすれば、「デビュー作」としては、十分に派手で全世界に話題を振りまき、「ヒット作」だったと位置づけていることだろう。

この事件を、権力闘争だとか「政敵、周永康」などという視点から分析するのは適切ではない。

(本の執筆に専念していたため、しばらくコラムをお休みにしていました。申し訳ありませんでした。)


[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版も)『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。


※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

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遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)


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